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「マルフォイ先輩、遅れてすみません」
「謝ることはない。君も損な役回りだな」
「そうでもありません。割と楽しいですよ」
それぞれの寮長をそれぞれの寮テーブルに置いてきて役目完了のセブンがやっとスリザリンに合流した。
「パーティーを止めて悪いね。新入生諸君、寮長のセブンだ。気楽にセブンと呼んでくれて構わない。困ったら何でも言ってくれよ」
それだけ言ってマルフォイの向かいの席に腰を下ろしたセブンは、早速今年の新入生を見回す。
先ほどは遠目で気づかなかったが、深く濃い青の瞳をしている。
茶色の髪はさらさらのストレートで、その顔立ちはなるほどハンサムだ。
彼が登場した瞬間女子たちが若干色めき立った理由が分かった。
じっと見つめていたら程なくして目が合い、ニコ、と笑いかけられた。
「君、名前は？」
「……トム・リドル」
「いい名だ。トムと呼んでもいいかな」
「できれば、リドルで」
リドルは自分の名前が嫌いだった。
自分の存在を特別と信じきるには、この平凡な名前が邪魔だから。
セブンは何も聞かずに「わかった」とだけ言って、他の新入生にも話しかけるべくリドルから目を逸らす。
「あの」
リドルはかぼちゃスープの入ったマグを置いて、マルフォイに話しかけた。
ハッフルパフの寮長が気にかかったからだ。
隣のテーブルを見ている限り警戒するべき点は目につかない。
小さな口にチョコクロワッサンを詰め込んで、もきゅもきゅと咀嚼している。
唯一変わったところといえば、彼が明らかに東洋の血族であるということだった。
マルフォイはリドルの視線に言わんとすることを察して、「彼か」と口を開く。
「彼はハンゾー・オカダという日本人だ。今年5年生で、1年の頃からハッフルパフの寮長をしている。これが凶暴で気まぐれな男でね。誰も手が付けられない」
苦々しげに言ったのち、ハッフルパフのテーブルでハンゾーがむくりと立ち上がったのを見て、「ああほら、言ったそばから」と少し声に焦りを滲ませる。
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作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
