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ほっこりしたところだったが、次の瞬間ユリはどん底に落とされた。
「厨房ならこの時間は空いていない。屋敷しもべ妖精もまだ持ち場についていない」
「えーっ」
腹ペコ少女は絶望した。
このまま餓死するかもしれない。
もう一度寝ようにも腹減って寝られないし。
この世の終わりみたいな顔をして立ち尽くしたユリを一瞥してスネイプが言い捨てた。
「どうせ、キミの寮は遅くまで騒いでいたのだろうが。残飯を食えばいいだろう」
「残った食べ物はウィーズリーの双子が最後に全部爆発させました……」
だから、ユリは朝イチで風呂に駆け込んだのだ。
ついた油がべたべたして気持ち悪かったから。
これにはスネイプもしばし理解に時間を要して、三、四回素早く瞬きをした後聞き返した。
「何と？」
「爆発させたんです。コンフリンゴ、ドカン」
ユリは昨日の惨状を本物よりはるかに鎮めて説明した。
フレッド、ジョージ、さらにリー・ジョーダンが「コンフリンゴとエクスパルソはどっちが強いんだろう？」とか言いだして始まったちょっとしたテロである。
スネイプは眉間のシワを深くして呆れたように首を振り、やっと踵を返してしまった。
「あ、待って！まだあります」
「今度はなんだ」
「迷いました」
律儀に聞き返したのが馬鹿だったと、きっとスネイプはそう思っただろう。
「冗談じゃないんです、ホントに迷いました。寮に戻れません」
「……」
「助けて先生。スネイプ先生だけが頼りです」
身体の奥底から押し出すような、そんなため息がブラックから漏れた。
そしてそのまま踵を返す。
今度は「大人しくついてこい」の背中だった。
ユリは肌でそれを理解して、あの夜と同じようにちょこちょこ後ろにつく。
もう一年ここで過ごしたはずなのに、知らない道が沢山あった。
そしてその知らない道を、スネイプはすいすい歩いて行ってしまう。
ユリは「こんな場所あったんですね」だとか「この絵はどういうものなのか」とか言ってみたが、やはり彼は無言で前を行った。
でも、ひとつだけ返答を返したときがあった。
それは、やはりたったひとつ、ユリが真面目にした質問だった。
「先生、クィレル先生は助からなかったんですか」
「……助かったところでアズカバン行きだ」
「アズカバンってなんですか。刑務所？」
「……」
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にはろ(プロフ) - 理緒さん» ご意見ありがとうございます！修正しました。今後ユリという名前に関する記述が少し出てくるかと思いますが、無視していただければ大丈夫です。 (2022年4月19日 21時) (
レス) id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
理緒(プロフ) - 名前ってユリになってるんですがリノを使いたいのですが変えれませんか？ (2022年4月19日 10時) (レス) id: 946438c0c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや。 | 作成日時：2022年1月24日 13時
