及川妹、リベロになる。 (ページ30)

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おでんを煮る。ページ30

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とりあえず水をぶっかけて泡を処理する。

するとホースが抜け、コンセントまで抜かれ、ひん曲がって頼りなく構える洗濯機だけが残った。

「何？何をしたらこうなるの？」

「私さっき男子の休憩中に東峰さんが出てくの見た！」

「は？東峰さんが？」

ちひろが声を漏らす。

確かに東峰さんが西谷さんの手違いでヘアスプレーを足にぶっかけたのは見たが、わざとじゃなくてもこんなことする人じゃないと思う。

イラついて当たったのか？
いや、ないな。

私ならやるけど(最悪)

「とりあえず結先輩に言おう。運動部共用だから早くしないとぶっ叩かれる」

「わかった！！ゆいせんぱーい！！」

結先輩の名前を聞いた途端体育館に向かって駆け出す帆夏。

中学が同じということもあり、結先輩LOVEを日々ばらまいている。

ちなみに澤村さんも同じ中学だったらしい。

結局事件は西谷さんと田中さんの仕業だった。

どうやら洗剤の分量を大幅に間違えていたらしい。

なんで？？？

すぐに業者さんが呼ばれ、事なき(？)を得たが、その後も事件は起きるわけだ。

ここまでしておいて起きないわけがない。

夕飯の支度、清水先輩がいないことが気にかかったらしい田中さんと西谷さんが、台所に手伝いに来た。

武ちゃんは飲み物を買いに行っていて今はいない。

先輩の厚意を無碍にもできず、とりあえずそら豆のサヤを剥くとか、おでん用の野菜をレンジで温めるとか、小学生でもできる作業をやってもらっている。

この時は知らなかった。
それすら任せてはいけなかったことを。

豆ごはんの用意が終わって、唐揚げとおでんの方はどうだと鍋の中を覗き込む。

「お、いいじゃん」

帆夏が管理する大鍋の中には玉子以外の材料が全部そろっていた。

卵をゆでようと用意してあるはずの卵を探すが、あれ、ない。

その時、電子レンジの方で加熱開始のボタンが押される音がした。