恋人はあなた。-９-

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｢ほんとスイマセンでした！｣



店に入って早々、二階堂くんは私に頭を下げた。



｢いいって、そんなに気にしないで？なんか二階堂くんには謝られてばっかりな気がするけど笑｣



｢いや…俺が余計なこと言っちゃったから、話がややこしくなったらどうしよって思って…｣






昨日、ひったくりという具体的なことは言わないまでも、私が大変な目に遭った…的なことを、みっくんに言ってしまい、ちゃんと謝りたいから会ってもらえませんか？と二階堂くんに頼まれて、今に至る。









｢気にしなくていいって。今まで黙ってたのは私なんだし｣



｢何て言うか…俺も仕事のことでちょっとイライラしてたのもあって、ついミツさんに当たるようなこと言っちゃって。そんな流れでAさんのこと口滑らしちゃったから…
で、ミツさんから連絡来ました？｣



｢来てたけど、遅かったからもう寝ちゃってて、まだ話せてないの。今日また電話するってLINEが来てた｣







…なんて嘘。


ホントは昨日起きてた。

二階堂くんからざっと事情は聞いてたから、みっくんから連絡してくれると思って、私は待ってた。







けど、結局みっくんから連絡が来たのは、とっくに日付が変わった頃だった。







｢ま、女の子と楽しく飲んでたんだろうね｣



｢ちゃんと言っといたのに…マジで何考えてんだろ、ミツさん｣



｢フフっ、そういうのはもう慣れてるから大丈夫。それにね？ひったくりの犯人捕まったの｣



｢え？！マジすか？良かったですねー！｣





昨日みっくんからの電話のもっと前に、警察から連絡があった。


昨日も駅前でひったくりが起きた。

でも、被害に遭った女の子の彼氏が近くに居て、そのまま犯人を追いかけて、道行く人と共に捕まえたらしい。

犯人は昨日の人の他に２人居て、３人組の高校生だった。

仲間内で、誰が一番現金を稼げるかという競争で、それぞれが別で犯行を行っていたらしい。






…私はなんてバカげた遊びに付き合わされたんだろう。


土下座して殴り倒しても気が済まないほど腹立たしいけど、何も取られなかった私は、まだ不幸中の幸いだったともいえる。








｢しょーもないことしますね…。勉強してろっての｣



｢ホントにね。昨日ひったくられた女の子は、転んで頭を縫うほど怪我したって聞いたから…私は取られたものも無いし、大した怪我でもなかったからまだマシだったよ｣

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