祝言 ページ29
義勇が亡くなってから4度目の春がやってきた頃。
紫雨は元風柱・不死川実弥さんの息子の妻になりました。
紫雨の祝言には元柱の皆様も来ていただいてとっても素敵な式になった。
不死川さんも義勇と同じ痣が原因で亡くなってしまいましたが。
だからこそ二人は惹かれ合ったのでしょうね。
義正は義勇がやっていた剣術道場の師範を務めています。
道場のお手伝いに来ている娘と恋仲だとかじゃないとか。
屋敷は静かになってしまいました。
幸せだったあの頃の思い出が蘇り淋しい気も懐かしい気もします。
紫雨の結婚から13年余りがたち周りが変わり始めました。
それでも私達は生きています。
楽しい思い出を胸にして。日々を生きるための糧にして。
大きく開いた障子から見える庭には義勇の好きだった桜の樹が植わっています。
その大きな木は逞しくまるで義勇のようです。
桜の花弁が舞い落ちるのを眺めていると
「母様?お昼の用意ができました。」
控えめな紫雨の声がした。
数年前から病を患った私の看病のため紫雨一家はこの屋敷に住んでいる。
紫雨と不死川さんと息子一人。
この屋敷に少し明るさが戻ってきて懐かしい感じがします。
私はもう長くはないことを知っています。
だから
最後には
A「紫雨。。ありがとう。」
笑って逝きたいな。
紫雨「何?どうしたの急に?
母様!!母様!しっかり!!!」
笑って暮らしてほしいんだ。
貴女と義正には。
沢山の幸せをありがとう。
沢山の思い出をありがとう。
沢山の愛をありがとう。
沢山の笑顔をありがとう
私の愛しい大好きな家族達よ。
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作者名:玉葉 | 作成日時:2021年8月25日 18時