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「…っ」
Aさんの頬はつやつやですべすべで本当に綺麗で、人肌以上に温かかった。
それはお風呂から上がったばかりだからか、あるいは俺のせいなのかはわからない。
けどAさんの頬はほんのり赤くなっていて、俺の顔を見ないよう目を伏せるのに必死で。
でも、抵抗はしない。
「Aさん、嫌がらないの？」
「い、いやだよ…」
「じゃあもっと嫌がればいいのに(笑)」
「恥ずかしくてたまんないんだけど…ジョングクくんの手冷たくて気持ち良い」
と言ってクスリと笑う。その顔でちょっと余裕こかれるのも笑うのも、本当反則だ。
「じゃあずっとこうしてていい？」
「ダメ。ジョングクくんもお風呂入って。晩酌するんでしょ？」
「そうですけど、一生触ってたいです」
「ダメ(笑)乾かしたら出るから、そしたらお風呂入ってください」
「…はーい」
Aさんに言われるがまま、しぶしぶ手を放して脱衣所を出る。
しばらくして髪を乾かしたAさんが戻ってきて、入れ違いでお風呂に入った。
入れ違うときにもう一度まじまじ顔を見ようとしたら怒られたけど、そんなやり取りも今は贅沢で幸せなのだ。
Aさんが何かの間違いで寝ちゃったりされても困るから、急いでお風呂から上がって晩酌の支度をした。
冷蔵庫から冷えた缶ビールを二人分取り出し乾杯する。
Aさんと今日の打合せの話をしていた。
仕事の話になるとお互い語り合ってしまうので、気付けば何本かお酒の缶が空いていた。
俺の方がたくさん飲んでいるけど。
そして、ふとよぎったのはソンさんの顔だった。
「今日褒められてましたね、ソンさんに」
「え？ああ…ちょっとみんなの前ではやめてほしかったけど」
「でも、嬉しかったですか？仕事もできるし、やっぱかっこいいなとか思いました？」
「そんなことはないけど…どしたのジョングクくん、」
お酒のせいだろうか。
何だかソンさんのことを思い出して悔しくて仕方なくて、口から出た情けない妬みはどんどん溢れ出す。
「ねえAさん、まだソンさんのこと好きですか？」
-綺麗な貴方に薔薇を_一輪目 fin.-
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作者名：SLY | 作成日時：2019年5月23日 13時
