照兄の彼女になりたい4

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　「ひーくん」







『………へ？』






照「ひーくん、て呼んで」



『ひー、くん？』





照「うん。



……………名前よりそっちの方が、彼氏っぽいでしょ？」



『彼氏って……』




悪戯に笑うひーくんは、考えてる事が本当に読めない。







彼氏、いるんだけどなぁ。


でも、なんとなく、

言わなくていいやって

思ってしまった。



言いたくないとかじゃないんだけど。


別に、わざわざ言わなくてもいいかなって。





こんなことしたら康二に悪いかな？

ま、いっか。そんなんじゃないし。






『…………本名を教えてくれない理由は？』





照「やばい仕事してるから」



『へっ！！？？』



照「あっは、
嘘に決まってんじゃん、騙されやすすぎ！」




ケラケラと笑うひーくん。

人をからかうのがそんなに好きなのかな、この人。







『ねぇ、そんなんだからフラれたんじゃないの？』



照「別にフラれてないもん、
俺がAの為に離れただけだもん。

それに、Aにはこんな風にからかったりした事ないし」



『そーなの？
根っからの意地悪なのかと思った』




照「お前ほんと失礼だな。






…………でも、いいな。

対等の立場で話すのも」





先程まで人をからかって笑っていたくせに、

急に優しい表情で微笑む。






………調子、狂うなあ。

ひーくんと話してると。






『対等じゃなかったの？』


照「んー、
お兄ちゃんと妹、って感じだったし」



『へぇ〜。ひーくんがお兄ちゃんねぇ……』







照「…………Aちゃんは、




兄妹、いるの？」









…………私は、



『んー、私は一人っ子、だと思う』



照「だと思う？」



『いや、一人っ子だよ、多分』



照「兄妹いるいないに、多分とかある？」




変だよね、たしかに。

いるかいないかなんて、普通はっきりとわかるものだもんね。




『…………なんかね、
昔、いたのかなー、なんて思う時がある。


実家にコップやお皿が4つあったり、
部屋が、ひとつ余ってるの。




変だと思わない？』





照「んー、………気のせいじゃない？」





………やっぱ気のせいなのかな。




あんまり、周りの人には言いにくい話だったから、
(こいつ頭おかしいって思われるでしょ？)


今日はじめましてのひーくんになら言ってもいいかなと思って言ってみたけど……







私の気のせいだったか。








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