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『Moonlit night』 7 ページ27

幸い、母親の負傷は軽微なものであった。 戻ってきた看護師に、"絶対安静にしてないとダメです!!"と叱られてしまったが、大丈夫だった。



驚いた胸をなでおろしながら、私は病室を出た。 顔をそむけると見慣れたバンダナが見えた。



"守?"



病室に入った守の後を継ぐと、病室にかかった名前が見えた。

豪炎寺夕香

見付からないようにそっと中をのぞいてみると、その時試合に出ていた男の子がいた。 息を殺して話をじっと聞いた。



"夕香は去年のフットボールフロンティア決勝の日から、ずっとこうなんだ"



"去年···?"



木戸川清修。

思い出した。その中学校なら聞いたことがある。 確かにあの男の子は、その中学校のエースストライカー、豪炎寺修也だ。



詳しい事情を知らない私は話をずっと聞いた。



"こいつ、楽しみにしてたんだ、決勝見るの。必ず応援に行くって言ってな"



"夕香の笑顔を見たのはそれが最後だ。スタジアムに急ぐ夕香は……"



Aは驚きを隠そうと、片手で口を塞いだ。



'影山の仕業だ…..!'



同時に私のせいだ。



自分を責める豪炎寺の話をじっと聞いていた私は、その場にへたりこんでしまった。



自分の家族だけでなく、他人の大切な人まで傷つけたんだ。 頭が割れるように痛かった。



トレーニングノートが入っているスポーツバッグのひもを強く握った。



私のせいだ。

私のせい



頭を抱えていたら、守が病室を出た。



我知らず私は身を隠した こみ上げてくる息を鎮めるために大きな息づかいをした.



'謝らないと。ごめんなさいって。大切な人を傷つけて……"



'私のせいでサッカーをやめないでほしい。 サッカーができなくなるのは私だけで十分だ。 豪炎寺君はフィールドに立っていなければならない存在だ。 影山なんかに怯むような人じゃない。'



私はスポーツバッグを真直ぐに結んで、 豪炎寺のある病室に入った

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作者名:バナナ牛乳 | 作成日時:2020年4月2日 1時

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