彼たちがデビューするまで。【くろくん】 (ページ10)

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昨夜の事があってからか彼はいつも通りに接してくれた

「おい、あんま無理すんなよ」

「分かってるって！」

相変わらず心配は治らないみたいだけど

それでも彼が笑っていてくれるだけで嬉しかった

「蓮、お仕事頑張ってね」

「うん、いってきます」

「いってらっしゃい！」

笑顔で出ていく彼を見送り私も支度をはじめる。

今日は健診の日だ

頑張ってお薬も飲んでるし、頭痛も目眩も以前よりは減った

もしかしたら、病気なんてなくなってたりして

なんて淡い夢を見ていた。

3日前より渋い顔をするお医者さんに嫌な予感しかしない

「進行が速いですね」

「え？でも目眩も頭痛も減ってて...」

「それは、薬のおかげですね」

「そんな...」

事態は思っていたよりも悪い方向へ進んでいた。

新しいお薬と追加でだされる

最近薬の副作用のせいか急に眠ってしまったり吐き気がしたりすることが増えた

それでも、治るなら。なんて頑張っていたのに

辛いだけだった

本当に治るの？

誰も答えられないその問いは静かに消えた

「今日、どうだった？」

「あ、よくなってるみたい...！お薬のおかげかな？」

「頑張って毎日薬飲んでるもんな」

「うん！」

優しく頭を撫でてくれる彼には悪くなったなんて言えない。

一向によくなる気配がないこの体に嫌気がさした