彼たちがデビューするまで。【きいろくん】 (ページ2)

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ある日の夜。

彼の帰りを待ちながら夜ご飯を作っていると玄関のドアが勢いよく開いた。

「ひーくん？おかえりなさい。」

玄関までお出迎えに行くとそこには息を切らして立っている彼がいた。

「え？どうしたの？何かあったの？」

そう問いかけると少し下をうつむいた後、

「やったああああああああああ！！」

そう叫んで勢いよく私の事を抱きしめた。

「あの、、とにかく嬉しいことがあったってことは分かるんだけど･･･お姫様抱っこは恥ずかしいからやめてください。」

「ごめん、ごめん。ついついテンション上がっちゃって」

あの後私を抱きしめて、なぜかお姫様抱っこし飛び跳ねられた。

家の中だとはいえ、少し。いや、かなり恥ずかしい。

「それで、何があったの？」

「俺ね、俺、ついにデビューが決まったんだ！！」

「ええ！ほんとに？」

「ほんと！今日発表されたの！」

それでね、それでね。って今日の出来事を嬉しそうに話す彼を見ていると本当にデビューするんだって思った。

「おめでとう。ほんとにおめでとう。」

嬉しくってたまらず抱きつくと少しびっくりした後抱きつき返してくれた

「ずっと、夢だったもんね。ずっとデビューしたいって言ってたもんね。長かったね。よく頑張ったね。」

そう言葉にするたび、今までの事が思い返され涙があふれた。

悔しくてずっと１人で泣いていた夜。イベントが決まって喜んで帰ってきた日。たくさ乗り越えてきた。

「なんで（人1）が泣くんだよ。泣かないでよ、俺まで泣けてきちゃう･･･」

泣けてきちゃうじゃなくて、もう泣いてるでしょ？

でも、嬉しい反面私は彼がアイドルだと聞いた時から心に決めていたことがあった。

デビューするとき別れる。

ひーくんにはずっと夢を追いかけていてほしいし、それに彼の足を引っ張りたくないから。