59 敵と同じ ページ12
葵に何とか話しかけて"やめて"って言っても無視される。笑っちゃうくらい変だよ。明日は土曜日。週明けには最終進路希望調査をするって先生が言っていたな……
「＿＿＿やめてやれよ！！風化の夢邪魔すんな！！」
誰もいないはずの教室から聞いたことのある声。
「風化を傷つけるなら許さねえぞ！」
「分かった。条件 私と付き合って？」
「……それは…」
神葉くん、何でそんなに私に優しくするの？もう……嫌だ。
「……分かった。それで風化傷つけたら別れるからな。」
「ふふ…ありがと」
葵と神葉くんは付き合った。本当にこんな付き合い方で良いの 葵？私はその場から離れて家へ帰った。町の人の声も小さい子供の声も…全部聞こえなかった。もうこのまま死んでもいいや。
善？悪？ヒーローは正義で敵は悪。それはお互いの目指す道が違うから。敵から見ればヒーローは悪なんだよね。何が正しいんだろう。悪を叩いて正義を振りかざすヒーロー。
『…眠っちゃおう』
目が醒めたのは夜…22時くらいだった。
…
『どうでもいいよ…』
気が付けば窓を開けて空中で個性を使っていた。かつてないくらい 全力で。これでもう 敵だ。
台風並み…いや それ以上。一気に発動させた勢いで頭や手が痛むはず。それすらも感じなくなるくらいだったんだ。この時の私は。
ここは人通りも全くない。最高だ。暴れてやる。どうでもいい。自分なんか死んだっていい。
私は笑っていた。この時からだ。誰かと戦う時に笑うようになったのは。
自分の声とは思えないほどの笑い声。雨や風が暴れる。
無理やり作れ。ありったけの雲を。自分の体を犠牲にしろ。そしてそのまま消えたい。
…
「＿＿＿で急な大雨と暴風が発生しました。近辺の方々は十分注意してください。」
「こんなところにそんな雲なんか発生するはずありません。誰かが個性を使ったとしか…」
「敵の可能性もありますね。繰り返しお伝えします。＿＿＿で急な大雨と暴風が発生しました。近辺の方々は十分注意してください。」
…
目の前が真っ暗。何をしているのかも分からない。もう何にも分かんないや。
掟や規則を破った私はもう終わりだ。救けてなんて思ってない。これでいいんだ。
これで死者、負傷者も出るかもしれない。分かんないよ……
リミッターの外れた私の体がようやく戻ったようで、私は激痛に襲われて落下した＿＿＿
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作者名：ゆゆん | 作成日時：2019年3月15日 18時
