お迎え ページ29
ーコンコンッ……ガチャ
「…意外と早かったな」
「るせぇ、さっさと入れろや」
「それが人に物を頼む態度かよ……まぁいいや入って」
どうぞ、と通されて入った部屋にAは居た。ベッドの上で丸まって寝てやがる。
……俺の気も知らねぇで。
「じゃあ俺、コンビニ行ってくるから」
洗脳野郎は、俺を部屋に通すと財布を持って出て行った。
俺はベッドに近づきAを見下ろす。
「…A、帰るぞ」
『……』
尻尾は反応しているが、顔はこっちを向かねぇ。
…不貞寝してんじゃねぇよ。
「目移りしたわけじゃねぇ。猫カフェには確かに行ったが、そこの猫どもなんて触ってねぇよ」
『……』
「……その…、……悪かった……不安にさせて」
……違うんです、勝己くん。
勝己くんは何も悪くありません。
ごめんなさいをするのは私の方です。
本当は分かっていました。
勝己くんが私を1番に思ってくれている事。
大切にしてくれている事、たくさん愛情を注いでくれている事。
勝己くんは優しいですから、きっと猫カフェに行ったのだって、お友達に誘われたから行ったのでしょう。
全て、分かっていました。
でも……それでも、勝己くんの服に着いた、あの匂いが私の心をぎゅうっと締め付けました。
勝己くんが私ではなく、他の同士を甘やかしたり、撫でたりしていたんだと考えてしまったんです。
勝己くんを、取られたと思ってしまったんです。
これは、嫉妬というのでしょうか。
私は体を起こして勝己くんに向き直ります。
「A、俺はお前が居ないとだめだ」
『……ニャ…』
「…………戻って来てくれるか？」
右手を伸ばしてきた勝己くんのお顔は、今にも泣きそうでした。
こんな私をまだ、傍に置いてくれるんですか。
大好きな人も傷付けてしまう私を。
私は戸惑いながらも、その手に擦り寄りました。
すると勝己くんは私を抱き上げ、優しく抱き締めてくれました。
「…………もう、勝手にどっか行くんじゃねぇぞ」
『…ニャァ』
心配かけてごめんなさい、お顔を引っ掻いてごめんなさい。
また一緒にいてくれてありがとう、迎えに来てくれてありがとう。
沢山の言葉が、頭の中に溢れてきました。
でも私には、それを伝える術はありません。
思うことかできない私は、その分心の中で沢山勝己くんに、ごめんなさいとありがとうを伝えました。
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しぐ - かわ (9月29日 22時) (
レス) @page39 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - めっちゃおもろい もうなんか、めっちゃ好き！ (9月4日 9時) (レス) @page39 id: 6e3a47796c (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 猫ちゃんかわいい(*≧з≦)❤ (2023年2月24日 22時) (レス) @page39 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 好きですっ！！！ (2023年1月16日 18時) (レス) @page39 id: 090773d13c (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 猫大好き人間です！ほんとの猫もこんなこと思っているのかな〜と思いました！更新頑張って下さい！ (2022年9月17日 19時) (レス) @page39 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺大福 | 作成日時：2018年12月5日 13時
