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33話 ページ35







目が覚める。
俺は全てを思い出したのだ。





本能的に開くことを拒絶していた記憶の蓋。
開けてみれば、なんてことない。
ただの悪夢だ。





いや、悪夢で終わらしていいものか。
全部俺がやってしまったことだ。
海の死神。それが俺の正体。
フロイドとジェイドの兄以前にそもそも生物ですらない。ブロットの塊。
……頭がかち割れそうだ。





「全て思い出したか。海の子よ。」





いつから隣にいたのかわからないが、マレウスが俺の事を見下ろしていた。
俺はベンチに座っていることに気づく。
マレウスが運んでくれたのだろうか。





「ああ。最悪なほど鮮明だよ。マレウス、ありがとうな。」






マレウスは怪訝な顔をした。





「何故、感謝しているのに泣いているのだ。」






俺は頬に手をあてる。たしかに流れているものがあった。






「……俺は、存在しちゃいけないからだよ。」






ジェイドに大怪我させて、海の民を傷つけて、たとえ不可抗力だったとしても、俺は俺が許せなかった。
この過去を受け入れるには、俺には難しい。







「……そうか。でもその答えはあの双子が教えてくれる。」






マレウスは、無表情で言ったあと、光の粒子となって弾けて消えた。俺は一人、ベンチに取り残される。






考えれば考えるほど、自分に嫌気がさしてきて、この世から泡になって消えたいと思ってしまう。






俺はしばらく、一人で涙を流していた。

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らずぴす(サブ垢)(プロフ) - マカロンさん» 長い間すみません!少しあと一ヶ月経ったら更新しまくるのでよろしくお願いします!! (2021年2月4日 7時) (レス) id: 204a8b350b (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - 久しぶりに見たら更新されてました!あ〜!!!続きが気になります!! (2021年2月4日 0時) (レス) id: 2dc6582dc3 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - ラムさん» 長らくお待たせしてしまってすいません……! (2020年12月2日 19時) (レス) id: 204a8b350b (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年11月28日 21時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - mioさん» 返信遅くなってすみません!コメントありがとうございます!! (2020年11月13日 15時) (レス) id: 204a8b350b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2020年9月20日 20時

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