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第47話 ページ9

「……気づかれないと思ったのになあ。」



久しぶりです。元気でしたか?……また会えて嬉しいです。
言いたい事は沢山あった。でもその思いと裏腹に飛び出した言葉は全く違うものだった。



実弥さんは少し驚いた顔をして、表情を消した。
違う、そんな顔をして欲しくないんだ。実弥さんにはもっと……。
俺は口を開きかけて、噤んだ。



「当たり前だろォ。……それよりもテメェ、何で鬼舞辻の所にいるんだァ。
耳札の餓鬼からお館様のところに連絡が入ったんだよォ。」



実弥さんの声音が変わる。地を這うような低い声に俺はビクリと肩を震わす。
視線が合わせられない。鬼舞辻といる時はこんなこと無かったのに。



俺は無理やり口角を上げ、後ろに跳躍して実弥さんと距離を取った。
そして剣を構える。もう鬼殺隊ではないんだ。実弥さんを庇う必要は無い。
しかも俺は鬼舞辻の配下。柱の首を持っていけば信頼を得られる。



「……俺はもう疲れたんですよ。偽り続けるのは。鬼殺隊は窮屈だった。俺、俺ね実弥さん。
鬼に育てられたんです。元々は鬼舞辻の所にいたんです。だから、元居た場所に帰っただけですよ。……俺の居場所は鬼殺隊ではないんです。」



ぽつりぽつりと零した嘘と真実。それらは闇に溶けて、やがて消えていった。
実弥さんは、酷く驚いているようだった。



震える手、すくむ足。それらを無理やり動かして実弥さんとの間合いを詰めた。



「柱の首一つ。これが俺の最初の任務です。」



静寂な闇がざわめき始めた。風がとても強くて、実弥さんの味方をしているようだった。



実弥さんは暫くして剣を抜き、無表情で俺を見た。



「俺の首だァ?取れるもンなら取ってみやがれ。」

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みー - もう夢主が性癖にぶっ刺さってくるぅ!!不死川さーん!!!かっこいいっす!泣きました (2021年9月6日 18時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - かすみ草とハルジオンさん» とても光栄なお言葉ありがとうございます!嬉しいです!! (2020年4月9日 0時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
かすみ草とハルジオン - 夢主のキャラと言うか性格が好きすぎてヤバいです! 普通に号泣できるぐらい凄いです!((語彙力  こんな凄い作品を読ませてくれてありがとうございます! (2020年3月23日 15時) (レス) id: 36ef626f85 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - √さん» ありがとうございます!嬉しいです!!呼吸の取得おめでとうございます(笑) (2019年12月27日 12時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
- 尊いの呼吸・弍の型 号泣が使えるようになりましたありがとうございます (2019年12月23日 21時) (レス) id: 0e9c842430 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2019年9月8日 18時

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