第5話 ページ7
「A様。新人の3人、見つけました。皆同じ場所にいます。ここから北北東です。」
「ご協力ありがとうございます。助かりました。」
俺は弟子などを取っていないため、独り身だ。なのでその新人とやらを探すのは相当手間がかかる。
俺は第六感が優れているため頑張れば自力で見つけられたが、変な疑いをかけられたくないため、念には念をとわざわざ隠の方に探してもらったのだ。
鴉に頼んでもいいが……人ともたまには友好的に接しなきゃいけないだろ?そういう小さな繋がりが俺の今後の周りからの評価が変わってくるというわけだ。
俺は隠の方に微笑み、まっすぐ北北東へと全速力で走った。確か彼処ら辺には十二鬼月である累の山があったはずだが……嫌な予感がするな。
彼奴はなかなか良い奴だと思っていたが、実際は家族に執着しただ狂っている奴だ。
……死んでも会いたくない。
案内役の鴉を追いかけながらそんなことを考えているとあっという間に3人の人影が見えてきた。
認識としては耳飾り、ビビり、猪頭。そう勝手に名付けることにした。
ここで会ってもいいが、なるべく人と話したくないのでまだ観察するだけにしよう。
3人は矢張り累の山に任務で向かおうとしていた。
うーん、累にも他の人達とも会いたくない。しょうがない、呼吸を使うか。
俺独自で生み出した闇の呼吸は夜の方がその力を発揮する。
「闇の呼吸壱の型。暗雲。」
俺は静かにそう言い放ち呼吸を発動した。この壱の型は月を雲が覆って隠すように自身の姿を誰にも見えなくすると言ったものだ。コツとしては夜と一体化すること。
しばらく見て、本当は嫌だけど誰かがピンチの時に現れて鬼を斬って助ける。それが一番怪しまれない方法かな。その時までには上手く笑えるようにしなくちゃ。
「……全てが面倒くさい。……なんて言ってちゃ駄目だよね。よし。」
俺は自分の頬をバチンと叩き、目を開く。
「憎い鬼め……どれだけ人を喰えば気が済むんだ。全員この手で斬ってやる。」
それを言った瞬間、俺の虹彩は闇にスーと吸い込まれていったような気がした。
739人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時