検索窓
今日:8 hit、昨日:31 hit、合計:479,731 hit

第24話 ページ27

「俺……鬼舞辻無惨率いる鬼達に育てられたんです。」



俺は、途中煉獄さんから視線を外しながらも途切れ途切れしっかりと嘘をついていたことを話した。
煉獄さんは俺の話を何も言わず真剣に聞いてくれた。
絶対に秘密にしようと自分の中で決めてきた思いが、煉獄さんの手によってバラバラと崩される。
不思議と嫌な感じはしなかった。



話終わっても煉獄さんは俺の目を見るばかりで何も言わない。
ああ、やっぱり話さなければよかったのかなあ。
俺は途端に恐怖を覚え、ぎゅっと拳を握り俯く。



次言われる言葉がこれほどまでに怖いと感じたことは今日が初めてだ。



「話してくれてありがとう。……今までよく頑張ったなあ、A。誰にも言えないことを背負って自分にまで嘘をついて……。もう大丈夫だ。」



「ッ……」



それは、俺を救うには十分すぎるくらいの言葉だった。
俺は初めて涙を流した。自分は一生流さないと思っていたから、とても驚いた。



「言っただろう?もうAは肩の力を抜いていいんだ。」



煉獄さんは俺にそう言って力強く抱きしめた。
こんなにあったかい気持ちになったの初めてでまた涙が流れた。







しばらくして俺が落ち着いたのを確認すると煉獄さんは俺を優しく引き離してから微笑んだ。
そして俺に諭すように言った。



「いいかい、A。確かに人は鬼に恨みを持っている者の方が多い。鬼殺隊の皆は特にそうだ。
でもな、AはAだ。鬼に育てられたからと言って誰もAを憎んだり軽蔑したりしない。俺が保証しよう。」



「……ありがとうございます。」



俺はそう言って微笑んだ。感謝のたくさん気持ちを込めて。
煉獄さんはそんな俺を見て太陽のような笑顔を作り、口を開いた。



「Aは狂ってなんかいない!感情もちゃんとある。自分に素直になればいいんだよ。少しずつでいいんだ。少しずつ、自分の気持ちを出していけばいいんだ。」



「はい……!」



今の俺の笑顔は心からの笑顔だったと思う。俺の苦手だった煉獄さんは俺の恩人になった。
いや、考えてみると苦手なんかじゃなくて、ただ、自分にないものを持っているから羨ましかっただけだった。



少しずつ、少しずつでいいから、ちゃんと俺自身と向き合おう。まだこれまで嘘をついていたことは話す覚悟がないが、もう、嘘をつくのはやめよう。



俺はそう決意した。

第25話→←第23話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (320 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
739人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 鬼殺隊柱 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。