第16話 ページ19
俺はその後も出てくる鬼を斬って、斬って、斬りまくった。
闇に鬼達の悲鳴や鮮血が響き渡り、静かな夜とは正反対になってしまった。
最近の俺はおかしい。自分でも分かっていた。お館様に言われた言葉。炭治郎に言われた言葉。鬼に言われた言葉。……一つ一つが俺の胸を締め付け、苦しめる。
“何かあったらすぐ私の所においで”
煩い────
“Aは一体何に対して怯えているんだ?”
俺は、怯えてなど────
“後悔する前にやめろ……”
「ああああ!煩い!煩い!煩い煩い煩い煩い煩い煩い!」
なんなんだこの感情は。なんなんだこの胸を締め付けられる苦しさは。
脳が他人の手によってグチャグチャにされているようで気色が悪い。
俺は堪らず地に膝を着き、頭を抱えた。……俺にどうしろって言うんだ。
「あーあー。顔面がグチャグチャじゃねぇか。辛いなあ、A。」
突然上から聞こえてきた声に俺は動きを止める。先程の騒がしさが嘘のように消え、夜に静寂が戻った。それ程までに、此奴の威圧が凄いんだ……。
そしてこの気配を、俺は知っている。
「煩い……猗窩座。何故此処に居る。」
「おいおい、様付けは何処行った?猗窩座様だろ?」
猗窩座。上弦の参にして俺が最も嫌悪する鬼。此奴に育てられた日は嫌な思い出しかない。
猗窩座は狂気混じりの笑みを見せつけ、ジリジリと近づいてくる。
俺は特に抵抗することも無く、ただ睨んでいた。
「なあ、A。お前と過ごした日々、楽しかったぜ?人を喰わせた時のお前のあの顔。傑作だったなあ。」
「……要件はなんだ」
俺がそう睨むと猗窩座はニヤリと口角をさらにあげた。
やがて俺と猗窩座の距離が5足長になった時、ゆっくりと口を開いた。
「……あの方が、お呼びだ。」
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らずぴす(プロフ) - 雷雅さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年8月29日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
雷雅 - 更新頑張ってください! (2019年8月29日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 夜桜さん» ありがとうございます!コメント励みになります! (2019年8月20日 6時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - すごく続きが気になります。 (2019年8月20日 1時) (携帯から) (レス) id: 6b3eeca1de (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - レイラさん» ありがとうございます!! (2019年8月9日 20時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす | 作成日時:2019年7月22日 21時