34話 ページ35
俺達は何時間もその場に立ち尽くしていた気がするが、太宰の配下が数分後すぐに来て、俺は我に返った。太宰はまだ上を向いたまま、何も言わないで膝をついている。表情こそいつも通りだが、
俺には泣き叫ぶ子供にしか見えない。
そんな太宰を見て、俺も先程のことが脳裏に蘇ってきて頭が痛くなる。友を失うのは、どんな痛みよりも深く、鋭く、心に突き刺さった。
俺は太宰の頭に手を置き、なるべく優しい口調で話しかけた。嫌われてるかもしれないが今は今だ。
「太宰、帰ろう。」
「……どこに？」
太宰が言った言葉は俺を驚かせた。
「どこに、帰ればいいの？私は身よりもなければ、住んでいる場所もない。私の居場所はポートマフィアだったのだよ。でも、織田作が人を救う側になれと言った。ポートマフィアには戻れない。」
太宰は早口で冷たく言い放った。その声は若干震えていて、虹彩は黒く染っていた。
俺に向けられた笑みも、冷たく感じるほどだった。
俺がなにか言おうとすると、太宰は我に返りごめんね、と眉を下げて笑い、立ち上がった。
俺は背を向けて立ち去ろうとする太宰の腕を掴んだ。もう大切な友人を失いたくないと、強く掴んだ。太宰もそれがわかったのか、抵抗もなく止まった。背は俺に向けたままだ。
「太宰、俺はいつもお前に無理するな、何かあったら俺に頼れと、言っている筈だ。」
きっと、織田作が太宰と居れたのは、太宰の孤独を知っていて、それに踏み込まなかったからだ。
そのことを織田作は深く後悔しているようにも見えた。でも俺は生きている。まだ、踏み込める。
俺は無意識にそう思っていた。
“誰もお前のことを恨んじゃいない。今を楽しんで生きろ。”
織田作は俺にそう言った。転生前、俺を見てくれようとする奴らを自ら突き放し転生してしまった俺には命ごと救われたような感覚だった。そして、同時にその言葉は織田作が自分の人生のことを指していたような気もした。
太宰は背を向けたまま、掠れた声で俺に問掛ける。
「如何して、私の為にそこまでしてくれるの……？」
太宰は心の底からこれを疑問に思っている。まるでわからない問題を教えてもらう子供のような、そんな純粋な疑問に俺はどう答えていいか考える。
織田作が、太宰を頼む。と俺に言ったからか？確かにそれもある。でも一番の理由は……
俺は胸を張って言った。
「お前は俺の友人であるからだ。太宰。」
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らずぴす(プロフ) - *ふわ*さん» ありがとうございます！とっても嬉しいです！！更新頑張ります！ (2019年5月1日 15時) (
レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
*ふわ* - 初コメ失礼致します！主人公くんの性格その他もろもろ込みでこの作品のファンです！！更新頑張ってください！応援してます！！ (2019年4月30日 20時) (レス) id: 18cb4fa1f4 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 薙(nagi)さん» ありがとうございます！そう言って貰えて嬉しいです！ (2019年4月28日 21時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好きです((設定とか主人公の立ち位置が好みです！もう産まれてきてくれてありがとう！(？) (2019年4月28日 19時) (レス) id: ea3376027d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずぴす | 作成日時：2019年4月19日 19時
