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「ありゃ、ピンチー?」

姫野が緊張感のない声を出す。あのままじゃデンジは死ぬ。誰の目から見ても明らかな敗北だった。

「もういいですよね、姫野先輩」

「うん!」

承諾を受けた早川が手を前に出すと手で妙な形を作った。

「コン」

地面から妙な気配を感じた瞬間に、デンジの腹を破った悪魔の首が消えたと思えば地面からデカいキツネの頭が生えていた。

「こいつはヒルの悪魔だね、飲み込んでいい?」

「よし」

キツネはそう言うと一瞬で姿を消す。

飲み込んだのか、あれを?本当に?
きつい…。

キツネが消えていった場所を眺めていると皆が走り出した。俺もその背を追いかける。立ち止まるのを確認すると足を止めた。地面に目を向けると、頭部から妙なものを出したデンジが血まみれの状態で倒れており何かを呟いている。血の匂いと混ざって漂ってくる妙な匂いはヒルの悪魔の物ではなく、デンジから漂ってきている。

「夢バトル……俺は……」

夢バトル?
気でも触れたのか?
こんだけ傷ついたら狂ってもおかしくはないな。

「ヒルの悪魔駆除確認、新人は生存者の救護と避難誘導!」

「はい!」

「姫野先輩は悪魔の警戒をお願いします!」

「オシ」

頭の近くにしゃがみ込んで顔を覗き込む。右目は真っすぐではなくぎょろりと右上を見ており、どうやらイってしまっているようだ。それよりも気になったのは彼の頭から突き出ているものだった。よく見なくてもトゲトゲしている。

人間じゃなかったのか。
人間の匂いがしてたのに。

それに触れようと手を伸ばす。

「触るな」

もうすぐ指先がそれに触れそうになった時だった、早川が俺を止めた。見上げると無表情でこちらを見下ろしてきている。手を引っ込めるとデンジの体を無理やり持ち上げる早川。

その反動で、体の傷が痛むのか、デンジは断末魔のような悲鳴をあげるが、彼は全く気にしてないように次の指示を出す。

「お前と血の魔人は事情聴取!」

「ニャーコは…!」

デンジに気を取られていてパワーの事を忘れていた。周りを見渡すと檻に入れられた猫が健気に鳴き声を上げる。

「猫は動物病院で健康状態の確認!魔人、お前に任せる」

檻に近づいてそれを抱き上げると早川の言葉が聞こえた。

「事情聴取は俺と姫野先輩で行う、荒井とコベニは魔人と一緒に動物病院に行ってくれ」

彼の言葉に二人は不満の声を上げるが、「じゃあお前らが事情聴取するか?」という発言に二人は慌てたように首を横に振ったのだった。

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ブブ(プロフ) - ととさん» また読んで下さってありがとうございます(*^^*) ととさんもお体には落ちをつけくださいね!少し油断すると風邪を引きそうになりますから! (2022年12月10日 7時) (レス) id: 1b530ea863 (このIDを非表示/違反報告)
とと - どんどん面白くなっていきますね〜!!体調不良に気をつけて下さいね! (2022年12月9日 17時) (レス) @page29 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
ブブ(プロフ) - 佐藤さん» コメントありがとうございます!嬉しいです♡ ありがとうございます、佐藤さんもお体にはお気を付けくださいね(#^^#)お暇なときにでも読んでいただけたら嬉しいです♪ (2022年11月25日 20時) (レス) id: a83a72b2d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤 - コメント失礼します。とても面白いです!お体に気を付けて作者様の無理のないようこれからも頑張ってください!応援しています! (2022年11月25日 9時) (レス) @page15 id: 76e6162b40 (このIDを非表示/違反報告)
とと - はい!読ませて頂きます! (2022年11月25日 1時) (レス) @page15 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブブ | 作成日時:2022年11月14日 15時

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