13 ページ13
洗濯物を干し終え、デンジの部屋に入るとすでに彼はベッドに入っていた。
もう寝たのかと顔を覗き込むと目が開いている。
しかしその開いた目は死んだ魚の様な目で。
ただ天井を見上げ、ついでに口も開いている。
「デンジ?」
話しかけても反応はない。
…怖い
一体何がデンジをそんな顔にさせているのか。野郎と寝るのはまっぴらごめんだ!と言っていたからもしかしたらそのせいか。
そんなに嫌なのか。布団は別なのに。
魔人と寝るんだからそれは嫌か。野郎以前の問題かもしれない。
もう一度呼び掛けてみるも全く反応がないので、俺は布団に潜り込み目を閉じた。
今日は色々なことがあって、更にマキマとの買い物。
心身に疲れを感じていた俺は、すぐに眠りについたのだった。
.
.
.
朝、物音で目が覚めた。
多分廊下を歩く音だ。
体を起こして布団をたたむ。
デンジを見ると、そっぽを向いて眠っていた。
あのまま目を開けたままだったら完全にホラーだったな。
部屋を出ると少し苦い匂いがする。
キッチンの方からのようだった。
顔を出すとパジャマ姿の早川が珈琲をたてていた。
昨日マキマと買った袋がキッチンに座っている
下を見ていた早川とふと視線が合った
「…おはよう」
挨拶を口にして俺は昨日干した洗濯物を取りにベランダへと出た。
まだ朝が早いから、空気が澄んでいる。
一枚手に取ると洗濯物は良く乾いているようだ。
洗剤のいい匂いを肺に入れ、ひと満足すると残りの洗濯物を取り込んだ。
「腹が減ったらならあるモン食っていいぞ」
早川はそう言うと珈琲と新聞を持って入れ替わるようにベランダへ出て行った。
リビングに座り込んで洗濯物をたたむ。
たたみ終えた服はキャリーケースへと戻すと、デンジが起き上がった
「おはよう」
デンジはまるで人形のようにぎこちなくこちらを向くと「はよ」とかすれた声で言う。
その目はやはり死んでいる。
そのままヨロヨロと部屋を出て行ってしまうデンジ。
背中を追いかけて部屋を出ようとすると尻尾を立てたニャーコが足に絡みついて来て甘えたような声を出した
腹が減ったのか
器、どこだっけ
リビングに行くと部屋の左隅にキャットフードと器があり、そこに餌と隣に水を置いた。ニャーコは嬉しそうに鳴くとカリカリと食べ始める
一方のデンジは空っぽな茶碗と箸を持ち、手元をじっと見つめて微動だにしない。
試しに顔の前で手を振ってみたが何の反応も見せないのだった。
539人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブブ(プロフ) - ととさん» また読んで下さってありがとうございます(*^^*) ととさんもお体には落ちをつけくださいね!少し油断すると風邪を引きそうになりますから! (2022年12月10日 7時) (レス) id: 1b530ea863 (このIDを非表示/違反報告)
とと - どんどん面白くなっていきますね〜!!体調不良に気をつけて下さいね! (2022年12月9日 17時) (レス) @page29 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
ブブ(プロフ) - 佐藤さん» コメントありがとうございます!嬉しいです♡ ありがとうございます、佐藤さんもお体にはお気を付けくださいね(#^^#)お暇なときにでも読んでいただけたら嬉しいです♪ (2022年11月25日 20時) (レス) id: a83a72b2d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤 - コメント失礼します。とても面白いです!お体に気を付けて作者様の無理のないようこれからも頑張ってください!応援しています! (2022年11月25日 9時) (レス) @page15 id: 76e6162b40 (このIDを非表示/違反報告)
とと - はい!読ませて頂きます! (2022年11月25日 1時) (レス) @page15 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ブブ | 作成日時:2022年11月14日 15時