Q.社畜は軍国に来ても働くのか

43枚目 次から次へと ページ43

コネシマが椅子を持ち、ドアめがけて振り下ろした瞬間

視界が奪われる。

『っ！』

何も見えない。黒を塗りつぶした景色だ。

「な」
『コネシマ！』
「何が起きてん・・」

椅子を振り落とす音が止む。

『音出さないの？』
「何が起きてるかわからん。無闇に動けんわ」

あんま動くなと釘刺され、おとなしく座る。目が慣れてきた。ブレーカーでも落ちたのか。ならすぐに復旧するはず。となると

『刺客？・・グルッペン大丈夫か』
「あいつらはまずやられへん。問題はお前や。ほんまにそっから動くなよ」
『あっはい』

腐っても軍国のトップと幹部だもんな。動けるか。

『こっちに来たほうがいいんじゃないか。ここに入るにはその入り口しかない。』
「せやな」

もし誰かを襲ってきた何かだとしたら暗視ゴーグルとかつけてるだろ。入り口にいたら先手を打たれる。

「目も慣れてきた」

コネシマの足音が近づいてくる。どうにも出来ないから待つしかない。

「肝座ってんな。怖くないん」
『繁忙期中に落雷でパソコン強制おやすみなさいよりかは怖くない』

あれは怖かった。血の気が引いた。

「なんやよく分からんが大変そうやな」
『まじで死ぬかと思った』
「平和そうに見え」

鈍い音

コネシマの言葉が不自然に途切れる。

『っ』

何か起きたのかはわからない。あぁだけど

何かいることはわかる

急いで後ろに下がる。黒い塊が動く。何も見えない。

「・・・」
『誰』
「・・・」
『あぁそう、喋る気はないと』

自分の足に手を伸ばす。どっちがどっちだか忘れたが、伸ばした方の手には、硬い感触。

それと同時に、硬いものが私の鳩尾をえぐる。えづき、呼吸が止まる。

『っ、ぐぅ・・！！』

黒の塊は私の胸ぐらに手を伸ばす。何でここに来てから物騒なことしか起きねぇんだ私。

あぁだけど。

その判断は間違ってんぞ、黒い塊。

『まっくろくろすけ出てきたら何するか知ってるから』

片腕をそれに向ける。それは一瞬だけ固まり、その動揺が掴んでる手にまで及んでる。

『目玉穿ってやる』

当たるかどうかわからない、黒い筒を目の前に放つ。大きな音に痺れる手。当たったか、外れたか。

「っ、この」

外れたようだが声が聞こえる。絶対忘れないからな。

天が私に味方したのだろう。それか天がこいつに牙向いた。


明かりが灯る。


男の顔が見える。


「やべ」

緊迫してる状況に、ゆるい声が

44枚目 ちょっと気まずい感じだすなシリアスだろ今→←42枚目 家族とは（哲学）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す