宣誓。陰キャを極めようと思います。

38話目 ページ38

保健室のドアを開けると

tn「なんや、今日おるんかい」

知り合いなのか砕けた口調で声をかける。いつもの先生、ではなそうだな。

「トントンやん。掘られに来たん？」
tn「その用件で来ることは一生ないわ。ちゃう、ちょっとこいつ見てほしくてな」

その人の前に出される。水色の髪という奇妙な風貌に、面布という奇妙な要素を取り入れたこの方は？

「ん、顔腫れてんね。いま氷嚢持ってくるから座ってな」
『え、あ、うん』

臨時の先生かと思ったが違うな。上履きが私の学年だ。

tn「また留守任されてるん？」
「せやで。任欠になるし授業サボれるからめっちゃええ」

やはり生徒か。彼は私に氷嚢を渡して前に座る。

「・・あ、君か！いつもみんなが言うてる子は」
『トントンお前、私のことなんか噂してるんだろ』
tn「俺よりも後輩二人のほうがよく喋ってんで」

話題にするほどの人間じゃないんだが。あの二人は私の何を見てるんだか。

「おれしんぺい神ちゅーねん。気軽にペ神ってよんでな」
『距離詰めるの早すぎて陰キャには厳しい』
「評判通りおもろい子やん」
tn「やろ」

なんでお前が自信満々なんだよ。

ペ神の面布は私から見てまっすぐだ。つまり、彼は私を見つめてる状態になる。なんだ。怖い。

sn「えっと、キョウカちゃん、やっけ？」
『うん』
sn「君さ」

声をかき消すほどのドア開閉音。びっくりして肩をあげ、振り返るとトントンも振り返ってる。

「先生！シャオロンが怪我したんで診てもらえます！？」
「シッマ声でかいねん！うっさい！」
「あぁん？心配してるっちゅーになんやその言い草！」
「はぁ！？元はといえばテメェが！」

tn「静かにせい！」

トンの一声で騒音二人はぴたりと口を閉じる。

「あれ？トントンと・・あ」
『・・あ！』

ニット帽のやつは知らんが、もう片方！金髪！おまえあれか席ぶつかってきた野郎か。

「すまん！」
『っんー？』

口を挟む暇もなく男は90度に腰を曲げて私に頭を下げる。

「西園寺といるってだけで不快な思いさせたわ！ほんまごめん！お前本当はいいやつなのに！」
『いや別に・・』

特に怒ってはないんだが。そんなやつもいたなと思ってただけなんだが？

tn「なんや、何かあったん？」
『・・いや、何もなかった』

謝ってくれたんだ。蒸し返すつもりはない。

sn「んで、二人はどうしたの」

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