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三曲目 〃 ページ7

流血表現とエグい表現あり。


昼前。私はシーツを何枚か抱え、廊下を歩く。

os「キョウカちゃーん!」

目の前から手を振ってこちらに来るのは我が国の外交官。

『外交官』
os「そんな堅苦しい呼び方いやめう。昔みたいに呼んで!」
『何か御用ですか?』
os「うーん、硬い!」

そうそう!と彼は私の手をつかむ。

os「あんな、今から外交なんよ」
『存じております。そろそろご準備したほうがよろしいのでは?』
os「それでな、キョウカちゃんに付いてきてほしい
ねん」
『・・は?』

この手の中にある仕事が見えないのだろうか。その糸目かっぴらけるだろ。

os「な?お願い!おいしいケーキ買ってあげる!」
『命令すればいいでしょう。なんで買収するんですか』
os「そのほうがWin-Winやん」

私にとってのWinおいしいケーキだけなんだが。

os「グルッペンのぶんも買ったるから!」
『あぁそれはありがたい』

最近執務室にこもりっぱなしの彼は糖分を欲してる。私もこの屋敷から出ることはほぼないため、ケーキを差し入れすることもない。

os「三人でお茶会したいし!な!ええやろ!お願い!!」

両手を合わせて頭を下げられる。幹部が頭を下げるメイドなんて私くらいだろう。

『構いませんよ』
os「ほんま!嬉しいわ!」

それ置いてくるんならついてくで、と言われたので準備を先にして下さいと丁寧に断る。




馬車に揺られて付いた先は隣国の友好国。城の中にある客室で二人の外交官は腹の探り合いをしている。口撃の上手な我が外交官のほうが優勢だなと耳を傾けていると

『・・』

違和感に上を見上げる。

あぁこれは・・放っておこう。こちらに害はない。

「そうだ、ご相談が」

次の音は彼の口ではなく、首から溢れた。赤い液体が吹き出す音にボール大の硬いものが床に転がる音。

os「!」

切り口は綺麗で薄い。おそらくは天井からワイヤーを使い切ったのだろう。赤く色づいているそれはすでにこの空間には存在しない。

「外交官殿!?」

向こうの使用人は慌てて人を呼ぶ。

「オスマン様、申し訳ありませんがお帰りくださいませ。兵をつかせますゆえ、周りには気をつけて」
os「兵はいりません」

は?

os「人員はそっちに割いてください。私なら大丈夫ですから」

外交官は立ち上がり私に目配せをする。退出するのだろう。私も彼のあとに続く。

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まうるもち - 好きです....文章が神.....いつの間にか読み終えていた不思議 (2019年10月7日 23時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 紫龍さん» 誤字ですごめんなさい!ご指摘ありがとうございます! (2019年10月3日 6時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
紫龍 - 碧月さん» 失礼します…knさんの2条目『後者裏』って『校舎裏』の事ですか?誤字とかじゃなかったらすみません!! (2019年10月2日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - アルムさん» ご指摘ありがとうございます! (2019年9月29日 9時) (レス) id: 8ab1994adc (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - コメント失礼します!碧月さんの作った小説はやっぱ神ですね!途中で気づきましたがemさんの小説の六限目の20行目の「…そらは愛おしさへと…」は「…それは愛おしさへと…」じゃないでしょうか?間違ってたらすみません!更新楽しみにしています。 (2019年9月29日 8時) (レス) id: 9866a4ca3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧月 | 作成日時:2019年9月17日 6時

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