29件目 君はこの ページ30
がん、っと鈍く鋭い音が響く。音のなる方を見てみると、彼は拳を机に叩きつけたのだろう。少し赤くなっている。
瞳にはうっすらと過去の後悔が滲み出ていて
em「そんなわけ、ない、やろ・・・っ！！」
苦しそうだね本当に。過去を忘れず、今を捨てられない。
em「忘れんかったことなんて、一度もない」
だけど、と口に出す。手を離してやると、彼は自室を見渡す。
em「・・俺が、なんで教授になれたか不思議でしょう」
『そりゃまぁ』
異例だろう。五年かけて教授になるならわかるが、五年前から教授なのだから。
知識はあっても後ろ盾も経験もないはずなんだが。
em「八雲家が逃げていた俺を拾ってくれたんです」
『！』
em「そして、私の知識が彼女の父親に認められ、異例ですがこの大学に席を置くことが出来たんです」
なるほど納得カタツムリ。八雲家ともなれば造作もないことだろう。法令ギリギリ違反してる気がするが目をつぶろう。
em「過去を忘れたわけではない。出来る事なら、貴方の言ってることすべてが本当なら協力したい」
彼の意志と5年前の恩が見事にすれ違う。
em「やけど、俺は八雲家に、拾ってくれた彼女に恩を返したいんや」
「そんなもの、とっくの昔に返されてますよ」
em「え」
『！』
ドアには飲み物を2つ抱えた紫が立っている。彼女が手にしているコップから汗が滴っている。
yk「そんなこと気にしていたんですか？」
em「そんなことって、私にとっては」
yk「そんなことですよ」
どうぞ、と私に飲み物を渡して、もう片方は自分で持ったままだ。
yk「この5年、私は貴方に多くのことを学びました。」
持ってきた飲み物はコーヒーだった。一口飲むと苦く癖のある味だ。
yk「それで十分ですから」
em「っ、で、でも」
yk「先生」
彼女はまた笑う。笑う顔の似合う女性だが、歳に似合わない、人間離れした完璧で深みのある笑顔だ。
yk「コーヒーの量も、先生の時間も、無限大ではないでしょう？」
更新バリバリに遅くなるかも知れないです。あと、気休めにまた別の作品出すかもしれん・・！！
30件目 実はあの見た目→←28件目 聞いてないんだけど？？
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ネメ - grちゃん視点のヘラちゃんのシーンマジで鳥肌立ちました...文才神... (5月18日 1時) (
レス) @page22 id: eb05b364fd (このIDを非表示/違反報告)
ノコキノ - めっちゃ面白いです！夢主の性格がなんかカッコイイし…！更新頑張って下さい！続き楽しみです！ (2022年3月2日 16時) (レス) @page46 id: d2ad17c9e0 (このIDを非表示/違反報告)
himahima(プロフ) - え...かわいい...好きです (2021年7月28日 4時) (レス) id: aa9925d685 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 今更見つけました()好きです、更新待ってます！ (2021年4月3日 1時) (レス) id: c9684e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
Rukia (ゆっくりゆる) - 突然の東方要素(好き) あっ、(この作品)すきです。 (2021年2月1日 21時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月9日 12時
