17件目 お迎えに来ましたよ ページ18
暫く人工的な明かりの街を見下ろしていると
？「お待たせしましたぁ」
間延びの声がドアから届く。言葉ひとつだけなのに、グルッペンと同じ訛のようなものを感じる。
？「あれ、随分可愛らしいお客さんやな」
着流しを身にまとい、手にはキセル。遊女のように見える。が、なよなよしいというわけではなく、儚いという言葉が当てはまる。
長い前髪をわけ、片目が隠れている。もう片方の目は深い深い青の色で、眼鏡をかけている。合ってるだろう、多分鬱という名の人だ。
ut「外眺めてたん？」
私と向かい合わせに座り、こちらに向かって微笑みかける。人気出そうな顔だな。ここに来る女性の心理を的確に見抜いて入り込めそう。
『・・お名前は？』
受付の際、店員は名前を教えてくれなかった。何かの意味があるのだろうとその時は黙っていたが
ut「好きに呼び、何でもええよ。恋した男の名前でも、愛したい男の名前でもな」
そういうコンセプトのお店なのか。なるほど。自分を見失いそうな仕事だな。
『はぁ・・』
生憎そういうのにはまったく興味ないから何も思いつかない。困惑してる私に気づいたのか、彼は私の髪の毛を触る。
ut「綺麗な銀の髪やな。」
後頭部まで手をまわし、ぐいと私を引き寄せる。身体が倒れそうになり、彼の肩に手を置いてバランスを取る。
口説き慣れてるな。よし、口説き返そう。
『・・綺麗な瞳ね。この街には来ない夜みたい』
口説かれることに慣れてないのか、少し驚いた素振りをみせ、そして彼は口を開けて笑いだす。
ut「面白い子やな、口説いてるん？」
女性よりも綺麗な指先は私の顎にあて、上を向けさせる。
『うん、なんか・・・』
グルッペンからの言葉を思い出し一瞬躊躇する。え〜〜言わなきゃだめ？あ、駄目ですか。はい
『・・君、羊とやれそうなオーラがあるね』
ut「は？」
ねぇ通じなかったんだけど。ねぇ、ねぇ！！どうするんだよこの空気！！
『っていうのを言われたことはない？』
彼いわく、この人と最初にあったときにそう思い口に出したそうな。いやこんなこと言われたら覚えてはいるだろうが。
ut「そ、れ」
おや？なにやら手応えありだぞ。よかった不発弾とかだったらどうしようかと思った。
『鬱、いや、大先生の方がいいか？』
立ち上がって彼の前に手を差し伸べる。
『貴方の主からお迎え要請だ。グルッペンのもとに行くよ』
上を見上げる彼の目には、光が入り込む。星空みたいに綺麗だなと、思った。
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ネメ - grちゃん視点のヘラちゃんのシーンマジで鳥肌立ちました...文才神... (5月18日 1時) (
レス) @page22 id: eb05b364fd (このIDを非表示/違反報告)
ノコキノ - めっちゃ面白いです！夢主の性格がなんかカッコイイし…！更新頑張って下さい！続き楽しみです！ (2022年3月2日 16時) (レス) @page46 id: d2ad17c9e0 (このIDを非表示/違反報告)
himahima(プロフ) - え...かわいい...好きです (2021年7月28日 4時) (レス) id: aa9925d685 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみだいふく(プロフ) - 今更見つけました()好きです、更新待ってます！ (2021年4月3日 1時) (レス) id: c9684e4af6 (このIDを非表示/違反報告)
Rukia (ゆっくりゆる) - 突然の東方要素(好き) あっ、(この作品)すきです。 (2021年2月1日 21時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2019年9月9日 12時
