甘さ控えめに【橙】 (ページ20)

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「Aちゃん、またね」

『うん、また』

「そんな顔しないで、離れたく無くなるから」

今日は仕事が休みで、

海斗くんは仕事だから玄関先まで送り出す。

キスしたって、抱きしめあったって、

不安な気持ちは完全に拭えることはなくて

まだスッキリしないままお昼ご飯を買いにコンビニへ向かった。

お弁当とお菓子を買って帰ろうとすると雑誌コーナーで見覚えのある人が表紙に乗ってた。

手に取って近くで見てみれば、今さっき

たった数分前まで会ってた人。

`松倉海斗´って大きな文字が

…もしかして私付き合っちゃいけない人と付き合ってる？

勇気を出してスマホで検索をかければ色々と出てきた。ジャニーズで、アイドル。

ジャニーズに全然詳しくないからハッキリと分からないけど、絶対、手を出したらいけない人

ずっと不安だった気持ちが緩和されていく

…だからだ、だからあまり自分の仕事を話してくれなかったりデートだって外で出来ないんだ。

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妙に納得しちゃって、だからって嫌な気持ちにはならなかった。

帰り道、通りすがりの女の子達の話が聞こえてきて

「松倉くん今度ドラマ出るんだよ！楽しみ！」

その子の笑顔は可愛らしくて、ファンの子なんだろなってすぐに分かった。

こんな素敵な笑顔を壊したくない。

もし、彼女がいるなんて知ったら悲しいだろうし海斗くんにも仕事で影響が出るはず。

『……にしても、海斗くんかっこいいなぁ、』

雑誌の表紙の海斗くんは見たことなくて、

アイドルの海斗くんって感じ

彼のことを全て知ってるって勘違いしてた自分が恥ずかしくて堪らない。

『どうしよう、』

元太も、宮近くんも海斗くんと同じ

どうするのがいいのかなんて直ぐに浮かんでるのに、それが出来ないのは自分が臆病だから。

海斗くんが好きだから無理だ。

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