先生、恋ってなんでしょう３【短編集】

悪いテスト #有栖川先生 #リクエスト ページ4

Aside


放課後 ー英語科準備室ー


『はぁ…』

今日、英語のテストが返ってきたが散々だった。
今回は苦手な単元だったため放課後、先生に何度も教えてもらった。なのに思うような点数は取れずむしろ前回の点数よりも下がってしまった。

返される時、有栖川先生から耳打ちで準備室に来るように言われたがその時の声も低く不機嫌なのがあからさまだった。きっと、先生に教えてもらったにも関わらず私があんな点数を取ったからだ。


ｶﾞﾗｯ


『…せ、先生』

ドアを乱暴に開け機嫌悪そうに入ってきたのは有栖川先生。自然と目に涙が溜まる。

有「……」

先生はなにも言わず、私の向かい側のソファーに座りプリントを取り出して丸つけを始める。先生は一度も私を見ず、まるで私がいないような気分になる。

『……っ…』

私は謝ろうと口を開こうとしたが、少し気を抜けば泣いてしまいそうで下唇を噛む。

先生の顔も見れない。私を睨んでいるだろうか、もしかしたら気にせず丸つけを続けているかもしれない。急に不安になり私は目を強く瞑る。


有「A、頑張ったじゃん」

『……え？』

気づけば私の頭には先生の温かい手が乗っていた。
驚きで先生を見るといつもは見せないような優しい笑顔で私の頭をゆっくりと撫でている。

有「……頑張ったよ…頑張った頑張った」

先生は私をあやすように私の頭を軽く叩き、私の目に溜まっている涙を静かに拭う。

『先生……私っ…ごめんなさいっ…！！』

有「何で謝んの…Aは頑張ったじゃん」

私は抑えられなくなった悔しさと安心の涙を流しながら先生に抱きつく。普段なら嫌がられてしまうが今日はしっかりと私を受け止め背中をさすってくれる。

有「ねぇ、A……ご褒美」

顔を上げて先生を見ればニヤッと笑い私の唇にご褒美のキスをする。



『……えへへっ…ありがとうございます』

少しして私の涙も治り、私は久しぶりに見た優しい先生を思い出して頰を歪ませる。

有「……なに笑ってんの」

先程の先生とは打って変わっていつもの調子に戻った先生は私の頰掴んでじっと私を睨む。

有「点が低かったことに変わりはないからね？」

『はい…』

有「……じゃあ、今から特別授業してあげる」

『…へ？』

有「今度はちゃんとAの体に叩き込んであげる」

先生はニヤッと笑い、私は思わず顔が赤くなる。

有「え…なに想像してんの」

『い、いや！別に…！？』


また意地悪な先生に戻ってしまった。



end

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