眠り姫、誘拐。【ONEPIECE】 (ページ9)

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．ページ9

「とりあえずブーツと上着、あとマフラーならありました」

「おう、悪ぃな。」

「っあ、それ……」

ひょこり、とダイニングに顔を出すと、
男は私のスケッチブックをぺらぺらとめくっていた。勝手に見るなんて、と一瞬思ったけれど、帰ってきた時に上着と一緒にテーブルにぽんと置いてしまったのを忘れていた。多分開きっぱなしだったと思うし、まぁ見られて困るものでも無いし良いか。

「これ、お前が描いたのか」

「……あー、はい、……趣味で」

「うめぇもんだな」

「！！……ありがと、ござい、ます」

そんな機会なかったのだから当たり前なのだけれど、誰かに絵を見せたのも、こうして褒められたのも初めてのことで、少し照れくさくて声がだんだん小さくなってしまった。

「これなんか、すげぇ良い」

「……あ、それ、」

「うちの船長が見たら大喜びしそうだ」

そう言って男が見せてきたのは、さっき描いたばかりの、“メリー号”。
男は満足そうにそれを眺めている。そこでようやく、ふと、さっきメリー号に触れた時の記憶の1部を思い出した。雪の中半裸で筋トレをする姿があまりにも衝撃的すぎて忘れていたけど、この人、そういえば。

「……もしかして、貴方、この船のクルーの方…ですか？」