眠り姫、誘拐。【ONEPIECE】 (ページ3)

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Episode 01 ページ3

その日は、海賊船が1隻止まっていた。

海賊船がやって来るのもそれ程多い訳では無い。久しぶりに見たドクロマークの描かれた帆に、少しの期待と、緊張感が広がる。でも

「……かわいいお船だなぁ。」

帆に描かれているドクロには麦わら帽子。少しレトロなキャラベル船はカラフルなカラーリングで、緑も生えてる。そして、船頭は可愛らしい羊さん。なんて可愛らしいんだろう。

「いいなぁ、あんなお船で、私も世界中を見て回れたら良いのに。」

……でも私は、海賊にはなれないから。

スケッチブックに羊さんの船を描きながら、想像する。

この船はどんな旅をして、どんな世界を見てきたんだろう。

本当はもっと近くに行って、あの船に触れてどんな“記録”があるのかもっと見たいけれど、必ずしも海賊が良識ある人とは限らない。私も馬鹿では無いので、うかうかと近付きはしない。

でもーーー。
もし船に誰もいなさそうだったら、少し見に行ってみたいなぁ。

スケッチブックの中。

完成した羊さんの船と、本物を見比べて、一緒にどんな景色を描こうかと想像する。

もう空想だけで島を描くのは、そろそろ限界が近い気がしていた。

前回触れた船は、もう1年近く前に、補給の為この島に立ち寄ったらしい貿易船くらいだ。

それも、殆ど2、3の島を行き来するだけの船で、大した記録は見ることが出来なかった。

ここから見た感じ、人は居ないし、気配もない。

「少しなら、ほんの一瞬、触るだけなら…。」

船はその乗組員達の性格をそのまま表す。なんとなく、親しみやすそうなデザインのその船に、警戒心が少しだけ緩んでしまっていた。