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凛「はい、着いたよ。」


『行きたかったところって、庭?』


凛「そう。はい、座って。」


『ありがとう。』



凛月が言った椅子に座ると、カチャカチャと何か準備し始めた。


トポポポとお湯を注ぐ音が聞こえたので、何をしているか一瞬で分かった。



凛「はいどうぞ。」


『ありがとう。美味しそう。』



そう、紅茶だ。紅茶だけでなく、少しだけクッキーも用意してくれた。



『いただきます。』



1口飲むと、体がジーンと温まる感じが大好きだ。



凛「どう、美味しい?」


『うん、すごく美味しい。』


凛「それならよかった。」


『・・・この前の状況と同じじだね。』


凛「この前の?・・・あぁ、エッちゃんに対する思いを暴露しようとしたときのか。」


『そうそう。あの時は凛月が離れていかないかすごく心配だったな。』


凛「今は心配じゃないの?」


『うん。私が凛月のことを手放す気なんて一切ないから。』


凛「もしかして俺のセリフ真似した?」


『あ、バレた?』


凛「可愛いから許す。」


『かっ、可愛いって・・・!』



急に言われてすごく恥ずかしくなる。



凛「だって事実だし〜?・・・・・・あ、この前と違うところがいくつかあるね。」


『違うところ?』


凛「そう。まずは時間帯、次にクッキーの有無、最後は・・・・・・・・・」


『最後は・・・・・・?』


凛「俺とAが恋人だっていうこと。」



私の左手に、凛月の右手が絡んでくる。


ギュッと握りしめられた手は、やはり暖かい。



凛「本当、エッちゃんに何回も頼み込んで正解だった。」


『え?まさか英智さんが言ってた近日中に分かることって・・・』


凛(エッちゃん、Aに余計なこと吹き込んだな。)


凛「あぁ、多分このこと。」


『この為だけに、わざわざ何回も頼みに行ったの?』


凛「うん。」


『頼むだけで英智さん、よく許可してくれたね・・・。』


凛「まぁね。」


凛(最終的には土下座したなんて言ったらかっこ悪いから、絶対言わないけどね。)


『ありがとう。』


凛「何が?」


『色々と。』


凛「Aの笑顔が見れたから、頑張った甲斐があった。」


『ふふ、何だそれ。』



紅茶にクッキー、そしてこの時間を味わいながら、ゆっくりと時は流れていった。

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作者名:するめ | 作成日時:2022年4月4日 11時

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