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廊下に出て、弓弦さんと2人きりになった。
ドアを挟んだ向こう側にはまだ英智さんがいると考えると、少しだけ気まずい。
『あの、弓弦さ･･･｢必ず幸せになって下さい。｣
『･･･はい？』
弓｢英智様の分まで幸せになる。私の願いはそれだけでございます。｣
『分かりました。』
弓｢だから朔間さま、A様を泣かせたりしたら、英智様の代わりにこの私が許しませんよ？｣
ここに凛月はいないのになぜ話しかけるような口調なのか疑問に思っていると、目の前の廊下の曲がり角からひょこっと現れたのだった。
凛｢ゆづゆづは怖いな〜。まぁもちろん、泣かせる気も手放す気も一切ないけどね。｣
『凛月･･･。いつからここに？』
凛｢エッちゃんの｢僕との婚約を破棄することだよ｣辺りから？｣
『そうなんだ。ていうか、もしかして話全部聞こえてた？』
凛｢うん、バッチリ。｣
弓｢では、私はこれで失礼致します。｣
凛｢ばいばーい｣
何かを察したように、一礼をしてその場を去っていった。
凛｢よし、じゃあ行こっか。｣
『行くって、今からどこに？』
気づけば外はもう夕方。今から街にでも出かけるのだろうか。
凛｢いいから着いてきて。｣
『わっ･･･！』
膝裏に凛月の手をかけられ、もう片方の腕は私の肩を抱いた。
要するに、''お姫様抱っこ'' だ。
『ちょっ、ちょっと降ろして！』
凛｢えぇ、何で？｣
『恥ずかしいから！誰か来たらどうするの！』
凛｢見せつければいいじゃん。｣
『凛月がよくても私がダメなの！』
絵本の中に出てくるようなお姫様に対する対応を現実でやられると、とても恥ずかしい。
(こんなの、お姫様みたいじゃん･･･。いやでも実際、自分の役柄てきにお姫様なのか。)
凛｢恥ずかしい？そんなの気にしない、気にしない。｣
『ちょっと急に走らないで！』
凛｢え〜？｣
などと、小競り合いをしながら、凛月にされるがままにどこかへ連れていかれる。
落ちそうで怖かったので凛月の体を抱きしめた時に、微かに凛月の心臓の音が聞こえた。
(凛月も照れてたりするのかな？)
そんなことを考えながら、凛月に身を委ねた。
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作者名：するめ | 作成日時：2022年4月4日 11時
