拾 それでもいいっていってみて。--Chongyun ページ34
「ちょううーん!」
がば、と後ろから思いっきり抱きついた。抱き着かれた愛しい人は、うわぁ! と大きな声を上げてから、私を振り返った。
あ、怒った顔。かわいい〜。
「A! 後ろから驚かさないでくれって何度も……!」
「驚かしてないよ〜、呼びけてぎゅってしてるだけ!」
「だからそれをっ……! はぁ、落ち着け、落ち着け……」
「落ち着け〜」
私は頑張って冷静になろうとしている重雲の頭をよしよしと撫でてやる。ふふん、嬉しいでしょ〜。でも、重雲は恨ましげに私を見た。なんで?
しばらくして落ち着いた重雲が、アイスを食べながら私の話に付き合ってくれる。この時間が1番好きだ。だって大好きな人が一緒に話をしてくれるから。
「それでねぇ、その時リョンハがね、Aはおっちょこちょいだーって……そんなことないと思わない?」
「おっちょこちょいって言うよりかは、マイペースって感じじゃないか? 生き急いでるってわけじゃないだろう」
「いきいそいでる……? それが何かは分からないけど……」
「あぁ、生き急いでるっていうのはな……」
重雲はたまに難しい言葉を使う。私は学校に行ったことがないから、難しい言葉はよく分からない。行秋と仲がいいから難しい言葉も知ってるのかなぁ……。私も行秋と本を読んだほうがいいのかな?
重雲が誰かと仲良くしてるのが許せないわけじゃないけど、なんていうか、もやもやするっていうか……もっと私とも仲良くしてほしいって思っちゃう。これって迷惑かな……。
「あのねあのね、重雲」
「どうした? A」
じぃ、と重雲が私を見た。えへへ、もうずっとこれでいいのになぁ……。でも重雲はお仕事もあるからそういう訳にはいかない。私は頑張って、なんとかして、重雲に今の気持ちを伝えようとしてみる。
「重雲は……私の事、好き?」
「あぁ、好きだぞ」
「あのね、私も重雲が好き。だからね、あのね……ずっと一緒にいるのは、だめ……?」
「……ずっと一緒か」
重雲が少し困ったような顔をした。や、やっぱり迷惑だったかな……。ううむ、私も困ってしまった。
落ち込んだように目線を下げていると、重雲がぽんぽんと頭を撫でてくれる。不思議に思って見てみると、重雲は微笑みながら私を見ていた。
「いいよ、出来る限り一緒にいよう。ずっとは無理だけど……でも、Aがそれがいいっていうなら、僕もそれでいい」
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