【Genshin】ならばあなたと生きましょう (ページ27)

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⑻ 相殺、そして蒼天 -- Bennett ページ27

僕はベネットの笑顔が大好きだ。困ったような笑顔も、満点の星空のような笑顔も大好きだ。
ベネットには笑顔でいてほしい。彼の恋人として、彼女として、彼を幸せにしたい。……必ずしも、笑顔=幸せということでは無いかもしれないけれど。
だから、できれば……

「俺は不幸だからっていうのやめよう、ベネット」

「えぇ！？急にどうしたんだ、A！？」

「やめよう！！」

「り、理由を説明してくれ！」

無論！口に出さないことが1番である！口に出すと何となくそんな気がするだろう、それはあまり良くない……それに、ベネットがベネット自身に不幸だと言い聞かせている気がしてならない。
本人はそんなこと思っていないかもしれないが、僕が気にするのだ。

「ベネット、ため息を着くと幸せが逃げるって言うだろ？」

「あぁ、そうだな。俺はこれ以上不幸になりたくないから、ため息はつかないようにしてるぞ」

「だろ？なら、不幸だからって言うのもやめよう。口に出すと、本当に不幸になる気がしてならない。僕はこれ以上ベネットに不幸になってほしくないんだ」

そう言うと、ベネットは困ったように悩み始めた。悩む要素なんてどこにもなかっただろう。言うか、言わないかの選択だけだ。
ベネットは悩んだまま、僕に問いかけた。

「でも、俺は事実を言ってるだけだぞ？」

「それがダメだって言うんだ。たとえ不幸なのが事実だとしても、ハッキリと断言してしまうのは幸せになることを諦めているのと同義だ。ベネットにだって幸せになる権利はある」

「でも実際に、俺の不幸に巻き込まれて危険な目にあった奴だっているし……」

「だからってベネットに責任を押し付けていいわけじゃないだろ。ベネットが不幸体質なのは承知の上だ。その上で、ついて行きたい人だけがついて行けばいい。嫌な奴は勝手に離れていく。
君は、いま残った僕だけを愛してくれれば、絶対に幸せになれる」

強い意志と確固たる自信があって、僕はベネットを幸せにできると誓える。
僕は生まれつきの幸運体質に恵まれている。生きていて困ったことなど無かった。『お客さんは運が良い』『ラッキーなことに』このふたつのフレーズを短い人生で何度聞いたことか。

僕の幸運体質があれば、ベネットの不幸体質を相殺できるはずだ。実際に、僕はベネットとずっと行動していて危険な目に遭った試しがない。ベネットは奇跡だと喜んでいるが、僕にとっては至って普通の事だった。