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無事に朝練を乗り越え、
教室に向かおうと部室のドアを開けば
リュックとスクバを持った矢巾が待機していた。
「教室、一緒行こーぜ」
突然のことに驚きを隠せない。
いつもは私が早く着替え終わるため
先に教室に行ってることが多い。
こうやって矢巾に待ち伏せされたのは今日が初めてだ。
「今朝言いかけてたことって何だよ」
横に並んで歩く。
一切目を合わせないが、何故か優しさを感じる。
「なんか悩んでるっぽいからさ。
相談？俺でもいいなら全然乗るし」
「じゃあ…相談」
やっと口を開いた私に矢巾は嬉しそうに、
そして真剣な顔をして聞く姿勢をとる。
「私、部活に行くのが…辛い」
重々しく開いた口に焦る矢巾。
「…いじめ？」
「違う」
一年の頃、マネージャーになったことが原因で
女子にいじめられたこともあってか、
矢巾は私が部活に行きたくない理由をいじめと思ったんだろう。
「皆を見るのがしんどくて…」
勝とうと必死に頑張っている姿。
汗だくになりながらも
出来ないことを出来るまでやる姿。
「どういうことだよ」と矢巾は頭を捻らせる。
ふとインハイのことを思い出すと
私は泣きそうになるのを必死に堪えた。
目頭が熱くなり鼻がツンとする。
目から一粒零れた涙を矢巾が人差し指で拭う。
「泣くなよ」
そう言って寂しそうに微笑んだ直後、
HRの予鈴が鳴る。
「とりあえず教室行こ。また後で話聞かせて」
「ほら」と差し出された手をとり、
私は矢巾に手を引かれながら教室へと足を進めた。
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夜桜伊織(プロフ) - ハルさん» わっ、1年も経つんですね！？そう言って頂けて凄く嬉しいです！！ (2020年6月4日 0時) (
レス) id: 022836b4c3 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 一年越しで本当に申し訳ないんですが、この作品すごく好きでした！！！ (2020年6月3日 14時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜伊織 | 作成日時：2019年5月23日 20時
