事勿れ主義【イルミ】 (ページ9)

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これ以上何も聞くな、と願っていると樹海に唸り声が響き渡る。
一難去ってまた一難。
泣きそうになるのをぐっと堪えて気を引き締める。
大丈夫、次は料理対決だったはず。
お題は寿司だ。
ドアがゆっくり開き始める。
ドアの向こう側には、力士を3乗したぐらいの体格の男、ブハラとわがままボディのメンチがいた。
メンチが口を開く。
「どぉ？お腹は大分空いてきた？」
「もー、ペコペコだよ」
メンチが息を吸って声を張り上げる。
「そんな訳で、二次試験は料理よ！」
大丈夫、命の保証はある。
が、次のブハラの言葉によってその希望は打ち壊される。
「オレ、豚の丸焼きがほしい！！オレの大好物！！」
…忘れてました。
てっきり寿司だけだと思っていた。
確かその豚って、世界一凶暴な豚だったよね？
目の前が暗くなり始める。
貧血かな？ストレスかな？
「大丈夫か？」
キルアが心配そうに覗き込んでくる。
「どうして私がこんな目に」
本気の声音で呟く。
「…ごめん」
少し泣きそうな顔でそういうキルア。
しまった。
違う、キルアを責めたい訳じゃない。
いや、反省してほしいんだけど泣かしたい訳じゃない。
「…お前はそこで休んでろ」
キルアは私の手を引いて大きな岩の陰へ連れていく。
私は岩にもたれ掛かる形で座り込む。
お尻から背中にかけてヒンヤリとした感触が伝わってくる。
「ありがとう、キルア」
これ以上キルアを不安にさせないように笑顔を作る。
が、これがいけなかった。
「あぁ、いってくる」
彼は少し眉をひそめた後、歩き出した。