事勿れ主義【イルミ】 (ページ4)

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キルア曰く、最近の私は恋する乙女のようらしい。
楽しそうにしたり、と思ったら遠くを眺めてため息をついたり、前よりキラキラして見えるそうだ。
それ、誤解です。
楽しくみえるのは、目標を見つけたから。
ため息をついてるのは、考え事をしていから。
前と比べてキラキラしているのは、踏ん切りがついたから。
「恋なんてしないよ。やりたいことをしてるだけ」
ヒソカの協力のお陰で、志望校はだいぶ絞れてきた。
あとは、この家をどう出るか。学力や身分証明は二の次だな。
「やりたい、こと？」
「うん、だから今、すっごい幸せ」
最後の洗濯物を竿にかける。
真っ青な空を背景にした洗濯物は、どこかの映画のワンシーンのようだ。
「終わり！お手伝いありがとうね」
キルアの頭を撫でて、また部屋に戻り勉強しようとした時、後ろから小さな声が聞こえた。
「楽しいか？」
受験勉強は、大きなストレスとの戦い。
受験戦争と揶揄されるぐらい、過酷なものだ。
「楽しいよ」
でも、これは私が自分自身で決めたこと。
私がしたいことだ。
これからが地獄だと思う。
家事をしながら、大学受験。しかも異世界の。
問題は山積みだ。
「諦めたりするもんか」
目標を口にすると、脳にインプットされ、自然とやる気が出てくる。
私の母校は、中等部から高等部に進学するのに、試験がある。
私は今まで、中学、高校、大学の計3回の戦争を経験をしている。
知識と継続は力となる。さてどう戦っていこうか。
私は、自室へと足を進めた。