変装をして、いざ ページ6
雑渡「できた。次は服だね」
地味だが洒落た簪を使って飾られた髪を指先で触って感じる。
彼はそう言うと私にこれを羽織りなさいといって服を手渡した。目立つ柄ではないが、地味すぎることもない、普通のもの。
それを羽織れば後ろ姿は別人に見えるだろう。
雑渡「時間もないし、遠目からならこれで平気。さぁ行こうか」
彼がそう言うと、私たちはまた歩み出した。
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日が落ちて、もうすぐ夜になろうと言う夕闇の時、
私たちはようやくそこに辿り着いた。
裏裏裏山の奥に隠されるようにあった平地。あたりを林に囲まれ、水源から流れ出る水のせせらぎが微かに響き渡る。
貴女「もうじき、天女がきます」
私がそう言うと、あたりに緊張が走る。
雑渡さんがぽつりと言葉をこぼした。
雑渡「無理だったら私たちに言えばいい。君が手を汚す必要はないのだからね」
貴女「……ありがとうございます」
私が安堵し、緊張も解けてきた時、突如として突風が吹いた。
芝を、枯葉を巻き上げて直撃してきた風に思わず私は目を瞑った。風は吹き続けるのではなく、まるで何かが通り過ぎるかのように木々を揺らしてさっていった。
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貴女「────雑渡さん？」
顔を上げてあたりを見回す。
しん、と静まり返った周囲には、人の気配はない。彼らだけが忽然と姿を消した。
貴女「ざ、雑渡さん！高坂さん！何処ですか！？」
山本さん、諸泉さん、押都さん！！と叫びながらあたりを見回しても、やはり人の気配はない。
どくん、どくん、
と心臓の高鳴りが聞こえてきた。ぶわっと嫌な汗をかいて、手足の指先が緊張で冷たくなる。
────怖い。
それだけだった。
彼らのことを信用していた。
彼らがいてくれるから、支えてくれるから私は決心がついた。
どうしようもない焦りに、「落ち着け」と自分に言い聞かせ続け、ようやく私は周囲の異変に気がついた。
静かすぎる。
足元から聞こえる川のせせらぎ以外、なんの音もしない。虫の音も木々のざわめきも、何もない。
自分の心臓の鼓動が耳の中でガンガンと鳴り響いて、呼吸が浅くなるのを感じた。
貴女「み、みよ、ミヨ、どうして」
ミヨ、
どうしてここにいてくれないんだ。
自然と情けない言葉が漏れ、私は座り込んだ。
夕焼けがゆっくりと藍色を隠していく。東側の空は藍色だと言うのに、ここには西日がしていた。
空が光った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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ラッキーアイテム
革ベルト
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柑橘 - この作品が一番好きなんです！いつか最新される日を願っています…！ (3月13日 15時) (
レス) id: 9eaae6032f (このIDを非表示/違反報告)
もち米マン(プロフ) - 更新がありますように…！(*´･ω･) (6月11日 3時) (レス) @page26 id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん - 更新待機中(*・∀・)つ (5月24日 21時) (レス) @page26 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
光陰矢のごとし(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。個人的に天女ものが大好きでこの作品を読ませていただきましたが、とても読み応えがあって、続きが気になります笑これからも更新頑張ってください！！ (2023年1月2日 22時) (レス) @page26 id: 04bb5063ad (このIDを非表示/違反報告)
にょきにょき(プロフ) - コメント失礼します。3回ほど読み返しましたが設定から内容ストーリーも新鮮で斬新でとても好きです。下級生、くのたまちゃん達が好きなので読んでいてとても嬉しい？わくわくしております！主人公ちゃんには幸せになって欲しいと思いましたね← 更新応援しております！ (2022年9月25日 9時) (レス) id: 7282b40af5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉夜月 | 作成日時：2022年1月7日 1時
