ＬＯＷ ページ25
疲れたように眠り、起き上がるとまた虚無感に襲われる。
これに慣れることはないのだろうが、それ以上にやらなくてはいけないことができた気がした。
ユキ「Aさん、大丈夫ですか？」
廊下の方から聞こえてくる声。
久しぶりに顔を見た気がした彼女が、心配そうな面持ちでこちらを伺っていた。
突っ張る皮膚の痛みに耐えながら、微笑みを顔に浮かべる。
貴女「おはよう」
ユキ「動けますか？」
貴女「うん、動ける。ユキちゃんも心配してくれてありがとう。もう大丈夫だよ」
穏やかな表情に、ユキちゃんの顔が微笑みを浮かべた。微かに悲しそうな想いを残して。
.
小松田「無理しないでね」
彼はそう言って、仕事を説明してくれた。
あまり体を動かさないように、掃除などはなく書類の整理や帳簿の記録などを任された。
彼がいなくなった部屋では、紙の擦れ合う音が響く。
頭を空にして、何も考えないように、手を動かしていた。そうしても、頭の中には後悔が浮かんできた。
筆を、
.
ゆらり、動かすたびに、滲む、
,
.
黒色が。
、
貴女「う゛っ」
唐突に吐き気を感じて、口でで押さえながらゴミ箱を引き寄せて、中に吐き出した。
吐瀉物の匂いにまた吐き気を催す。
はぁ、はぁ、と粗く息をして、自然と浮かぶ涙を堪えて。
生きていることへの嫌悪感に、咽び泣きそうになる。
あの子が死んだのに、藍川も死んだのに。
私のせいで死んだのに、何で私は生きてるんだろう。
罪を贖ったって、赦されようとしたって、罪を犯す前の自分に戻る方はできないのに。
ひとをころした。
それは事実で、昔愚かにも語っていた復讐劇を現実のものにしてしまった。
空想するだけなら何でもできる気がする。罪の意識だって耐えられるつもりだった。
.
でも違った。
無理だ、耐えられない。
.
こんなに辛いとは思わなかった。
こんなに苦しいなんて思ったなかった。
経験するまで、後悔するまで知らなかった私は、あの日の自分に恨言を言うことしかできない。
警戒な口調で薄っぺらい復讐劇を語り、軽視した罪の意識を耐えから妄想にいい気になっていた自分。
────経験したこともないくせに。
そう怒鳴ってやりたかった。
,
呆れるほどの無様な茶番劇。
,
やり遂げるまで、死ねない。
全てが終わるまでは、生きる理由がある。
.
.
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.
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.
────その後には、何もないけれど。
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革ベルト
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柑橘 - この作品が一番好きなんです！いつか最新される日を願っています…！ (3月13日 15時) (
レス) id: 9eaae6032f (このIDを非表示/違反報告)
もち米マン(プロフ) - 更新がありますように…！(*´･ω･) (6月11日 3時) (レス) @page26 id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん - 更新待機中(*・∀・)つ (5月24日 21時) (レス) @page26 id: 407aeb7a76 (このIDを非表示/違反報告)
光陰矢のごとし(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。個人的に天女ものが大好きでこの作品を読ませていただきましたが、とても読み応えがあって、続きが気になります笑これからも更新頑張ってください！！ (2023年1月2日 22時) (レス) @page26 id: 04bb5063ad (このIDを非表示/違反報告)
にょきにょき(プロフ) - コメント失礼します。3回ほど読み返しましたが設定から内容ストーリーも新鮮で斬新でとても好きです。下級生、くのたまちゃん達が好きなので読んでいてとても嬉しい？わくわくしております！主人公ちゃんには幸せになって欲しいと思いましたね← 更新応援しております！ (2022年9月25日 9時) (レス) id: 7282b40af5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉夜月 | 作成日時：2022年1月7日 1時
