純情わたがしとの付き合い方【赤緑】

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いつも通りベテランの先輩たちは定時通りに仕事終わらせて、颯爽と帰っていきはった。


僕はと言えば、逸る気持ちが先回りしすぎてちっちゃいミスが何個も重なってしまって、まだ終わらせられてない。


チラッと横のデスクのすばるくんを見たら、仕事がもう終わってんのか終わってないんか、パソコンを見てる横顔だけやったら分からんくて。


ちょっとその横顔見つめてたら、急にパタンとパソコンを閉じてこっちを向いた。


｢…終わったん？｣


仕事の時とは違う、ちょっと低めの声。


それだけでドキッとして、慌てて視線を目の前の画面に戻す。


｢あっ、ま、まだです。ごめんなさい…｣


思わずまた目を逸らしてしまったことと、待たせてしまってるっていうことで罪悪感でいっぱいになる。


｢ん。あとちょっとやろ？待っとるから慌てんでええわ｣


落ち込んでしまったところにすばるくんの声。


それだけで心がふわんってあったかくなって、落ち着いて仕事に入り込めた。


｢…終わった……｣


集中したらほんまに一瞬で。終わった安堵感とやっとちゃんと話せるって嬉しくなって顔を上げたら、おるはずのところにすばるくんはおらんかった。


なんでやろう。もう呆れてどっか行ってもうたんやろうか。


待ってるって言ってたのにそんなことする訳ないやんって、頭の中では考えれるのに、1回過った悪い考えが身体を突き動かす。


｢すばるくん…｣


名前を呼べば堪らんくなって、思わず立ち上がってオフィスを飛び出した。



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