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教室。
相澤は教卓に立つでもなく、
いつも通り気だるそうに前に立っていた。
寝不足の目でクラスを一瞥し、淡々と告げる。
「災害、水難、火災。何でもござれだ
レスキュー訓練をやる」
「「「おおー!」」」
教室が一気にざわつく。
『どこでやんの?』
後方、椅子を斜めにしてだらけた姿勢のAが、
欠伸混じりに聞いた。
相澤は一切感情を動かさず、
「バスで移動だ。さっさと乗れ。以上」
それだけ言って踵を返す。
「「え、もう終わり!?」」
「説明短っ!」
そんな声を背に、相澤は教室を出ていった。
──数分後。
廊下を抜け、バスの前に集まる1-A。
ヒーローコスチュームに着替えた生徒たちが並ぶ中、
ひとりだけ制服姿の女が混じっている。
それが、Aだった。
麗日が気づいて首を傾げる。
「ねえ?Aちゃん、コスチュームは?」
『ん?』
Aは肩越しに振り返る。
『あー……私? 要らない』
「ええの!?」
麗日の声が一段高くなる。
『うん。別に』
さらっと言い切るその様子に、周囲が一瞬静まる。
飯田が眼鏡を押し上げ、姿勢を正す。
「1年A組集合!番号順に2列で!スムーズに並ぼう!」
号令がかかり、皆が慌てて動き出す。
その流れの中で、女がふと首を傾げる。
『あれ?緑谷、委員長じゃなかったっけ?』
緑谷は苦笑いしながら答えた。
「えっと、そのあと話し合って……やっぱり飯田くんが
委員長になったんだ」
『そうだっけ』
あまりにも興味なさそうな返事。
麗日が小声で笑う。
「そういえばAちゃん、その時寝てたよね」
『あは』
悪びれもせず笑う。
緑谷は心の中で思わずつぶやいた。
(ほんとに自由だ……この人)
やがて、全員が整列し、順番にバスへと乗り込む。
階段を上がるたびに、
期待と不安が入り混じった空気が車内に溜まっていく。
女は最後の方で、手すりに軽く触れながらバスに乗り込んだ。
窓際の席に腰を下ろし、外を眺める。
『レスキューねぇ……』
ぽつりと、誰にも聞こえない声。
エンジン音が低く唸り、
バスはゆっくりと校内を離れていった。
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鈴カステラ(プロフ) - Muさん» ご指摘ありがとうございます!直しました! (1月17日 22時) (
レス) id: 4bba896066 (このIDを非表示/違反報告)
Mu - すいません七話でした (1月17日 22時) (
レス) @page7 id: 5ef27b7515 (このIDを非表示/違反報告)
Mu - すみません。八話の最後の当たりリリカになっているんですけど、、 (1月17日 22時) (
レス) @page7 id: 5ef27b7515 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 神作をありがとうございます!更新待ってます! (1月14日 13時) (
レス) @page28 id: 48c0cfb182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴カステラ | 作成日時:2026年1月5日 19時


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