検索窓
今日:76 hit、昨日:943 hit、合計:137,979 hit

4 ページ4

「……入れ。ホームルーム始める」
そう言って、1-Aの扉を無造作に開ける。

「は、はい!」
緑谷は慌てて一歩前に出て、教室の中へ足を踏み入れた。

――ざわっ。
一瞬で、視線が集まる。机に座る生徒たち。
見知った顔も、見覚えのない顔も。

それぞれが、興味、警戒、好奇心――さまざまな感情を
乗せて、こちらを見ていた。

(う……やっぱり注目される……)
緑谷が縮こまりかけた、

その時。
『……へぇ』
背後から、間延びした声。

気配が、すっと横を抜ける。あの女だった。
何事もなかったかのように、彼の横を通り過ぎ、
一番後ろ、窓際の席に腰を下ろす。

椅子を引く音。
だらりと背もたれに体を預け、足を組む。

(……え?)
緑谷は、思わず二度見した。

(座った……?
というか……普通に、生徒として……?)

相澤が教壇に立ち、寝袋を床に投げ捨てる。
「着席しろ。無駄話は禁止」

その一言で、教室は一気に静まり返った。
緑谷も慌てて自分の席を探し、前から数列目の席に滑り込む。

心臓が、まだ落ち着かない。

(さっきの人……本当に、同級生……?
でも、担任って言ってたし……相澤先生の……?)

ちらり、と後ろを見る。
女は肘を机につき、頬杖をついたまま、
半分眠ったような目で、窓の外を眺めていた。

――まるで、興味がない。
ここがヒーロー科1-Aであることも。周囲にいる“原石”たちのことも

相澤が、淡々と口を開く。
「今日からここはお前らの教室だ。
ヒーロー科1-A。
期待も注目もされているが――現実は甘くない」

淡々とした声。だが、その奥に圧がある。

「まずは自己紹介でもしてもらう。名前と個性。以上」

ざわり、と空気が動く。
(じ、自己紹介……!)
緑谷は、ノートを開くふりをして、深呼吸した。

その最中――
『……自己紹介、ねぇ』
後ろから、ぼそりと聞こえた。

緑谷の背筋が、びくっと跳ねる。

『ま、いいけど』
椅子を軋ませ、彼女は気だるそうに立ち上がる。

「――おい」
相澤の視線が即座に飛ぶ。

「順番を守れ」

『はいはい』

悪びれもせず、肩をすくめて座り直す。
そのやり取りに、クラスの空気が微妙にざわついた。

(……やっぱり、この人普通じゃない)

緑谷は確信する。
この人は――
ただの“癖の強い生徒”ではない。

5→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
304人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鈴カステラ(プロフ) - Muさん» ご指摘ありがとうございます!直しました! (1月17日 22時) (レス) id: 4bba896066 (このIDを非表示/違反報告)
Mu - すいません七話でした (1月17日 22時) (レス) @page7 id: 5ef27b7515 (このIDを非表示/違反報告)
Mu - すみません。八話の最後の当たりリリカになっているんですけど、、 (1月17日 22時) (レス) @page7 id: 5ef27b7515 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 神作をありがとうございます!更新待ってます! (1月14日 13時) (レス) @page28 id: 48c0cfb182 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鈴カステラ | 作成日時:2026年1月5日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。