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「……入れ。ホームルーム始める」
そう言って、1-Aの扉を無造作に開ける。
「は、はい!」
緑谷は慌てて一歩前に出て、教室の中へ足を踏み入れた。
――ざわっ。
一瞬で、視線が集まる。机に座る生徒たち。
見知った顔も、見覚えのない顔も。
それぞれが、興味、警戒、好奇心――さまざまな感情を
乗せて、こちらを見ていた。
(う……やっぱり注目される……)
緑谷が縮こまりかけた、
その時。
『……へぇ』
背後から、間延びした声。
気配が、すっと横を抜ける。あの女だった。
何事もなかったかのように、彼の横を通り過ぎ、
一番後ろ、窓際の席に腰を下ろす。
椅子を引く音。
だらりと背もたれに体を預け、足を組む。
(……え?)
緑谷は、思わず二度見した。
(座った……?
というか……普通に、生徒として……?)
相澤が教壇に立ち、寝袋を床に投げ捨てる。
「着席しろ。無駄話は禁止」
その一言で、教室は一気に静まり返った。
緑谷も慌てて自分の席を探し、前から数列目の席に滑り込む。
心臓が、まだ落ち着かない。
(さっきの人……本当に、同級生……?
でも、担任って言ってたし……相澤先生の……?)
ちらり、と後ろを見る。
女は肘を机につき、頬杖をついたまま、
半分眠ったような目で、窓の外を眺めていた。
――まるで、興味がない。
ここがヒーロー科1-Aであることも。周囲にいる“原石”たちのことも
相澤が、淡々と口を開く。
「今日からここはお前らの教室だ。
ヒーロー科1-A。
期待も注目もされているが――現実は甘くない」
淡々とした声。だが、その奥に圧がある。
「まずは自己紹介でもしてもらう。名前と個性。以上」
ざわり、と空気が動く。
(じ、自己紹介……!)
緑谷は、ノートを開くふりをして、深呼吸した。
その最中――
『……自己紹介、ねぇ』
後ろから、ぼそりと聞こえた。
緑谷の背筋が、びくっと跳ねる。
『ま、いいけど』
椅子を軋ませ、彼女は気だるそうに立ち上がる。
「――おい」
相澤の視線が即座に飛ぶ。
「順番を守れ」
『はいはい』
悪びれもせず、肩をすくめて座り直す。
そのやり取りに、クラスの空気が微妙にざわついた。
(……やっぱり、この人普通じゃない)
緑谷は確信する。
この人は――
ただの“癖の強い生徒”ではない。
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鈴カステラ(プロフ) - Muさん» ご指摘ありがとうございます!直しました! (1月17日 22時) (
レス) id: 4bba896066 (このIDを非表示/違反報告)
Mu - すいません七話でした (1月17日 22時) (
レス) @page7 id: 5ef27b7515 (このIDを非表示/違反報告)
Mu - すみません。八話の最後の当たりリリカになっているんですけど、、 (1月17日 22時) (
レス) @page7 id: 5ef27b7515 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 神作をありがとうございます!更新待ってます! (1月14日 13時) (
レス) @page28 id: 48c0cfb182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴カステラ | 作成日時:2026年1月5日 19時


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