副会長 ページ1
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壇上から降りてくる先輩。
その姿はとても凛々しくて、流石生徒会長に選ばれただけのことはあるなと思う。
「続きまして、校長先生からの挨拶です。」
マイクを通して響き渡る私の声。
そんな先輩の元、生徒会副会長になった私は司会という大役に選ばれてしまった。
壇上に立つのよりはまだマシかもしれないけど。
校長先生の長い挨拶を左耳から右耳へと聞き流しながら壁にもたれる。
前の方に並んで座るのは今回の主役達、新入生。
まだ着慣れていない、シワもない制服を校則どおりに着る彼らはとても初々しくて可愛い。
「……ねぇ、校長先生の話長くない?」
「Aさん、それ聞こえてたらどうするの?」
あまりにも話が長すぎて、思わず隣にいた彼に話しかける。
ヒソヒソと話す声は、マイク越しに聞こえる校長先生の声によって周りには届かない。
「大丈夫、聞こえてないって。」
「いや、そういう問題じゃなくて…」
「もーチョロ松くんは真面目だなぁ」
「いや、普通は副会長さんが真面目じゃなきゃいけないんだからね?!」
彼…チョロ松くんは壇上に目を向けながら、私のことを注意する。
流石にちょっと声が大きすぎたのか、生徒会長の彼女がこちらを向いた。
咄嗟にバッと壇上に顔を向ければ、彼女はあまり気にせず目線を元に戻した。
「……危なかった」
「いや、多分あれ気づいてると思うよ。」
「………やっぱり?」
「うん」
ずっと顔は壇上から逸らしてないはずなのに、チョロ松くんは何もかも見ていたかのような反応をしてきた。
こう見えて、結構周りのことよく見てるんだよね。
そういうとこ書記らしいな、なんて密かに思う。
校長先生の長い話の後はパパッと事が進み、すぐに新入生歓迎会は終わった。
ゾロゾロと生徒達が教室に戻る中、私達はマイクやらコードやらの片付けを始める。
まぁその前に生徒会長にさっきのこと怒られたけどね。
もちろん、チョロ松くんも。
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作者名:れな | 作成日時:2019年3月14日 7時