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話を聞けば、女子の部屋には数える程しか入ったことがないからというのが理由だった。
“私の部屋”には昔何回か入ってたことある気がするけど…
まぁ流石、未だに童〇を貫く男なだけはあるなと思う。
「〇貞で悪かったですよーだ!」
「え、あ、うそ、聞こえてた…?」
腕を組みながらプイッとそっぽを向いて、これまた想像したとおりに頬を膨らませて怒っていますアピールを全力でしてくる彼。
こんな時でも可愛いなんて思ってしまう私も、彼に負けないくらい単純思考なのかもしれない。
「ご、ごめんね、」と何度か謝ると彼はチラッとこっちを見てきた。
「はぁ………」
「……っ?」
「…………そんな顔で謝られたら許すしかねぇじゃん」
「へ?今なって言った?」
「なんでもねーよ!さっさと勉強始めよ!な!」といきなり前を向いて言ってきたかと思えば、本当に何も無かったかのように彼は教科書とノートを開き始めた。
なんだかよくわからないけど、許してもらえた、のかな?
私もいそいそと筆箱からシャーペンと消しゴムを取り出す。
「あ、数学からやんね?」
「うん、いいよ」
「……てかさ、俺、思うんだけど、」
突然真顔になって声のトーンも少し低めで話しだした彼に、私も自然と背筋を少し伸ばして動かしていた手を止めた。
真面目な話でもするのかな。相談なんてされても私、いいアドバイスとか言えないんだけど…
「………………数学とか学ぶ必要なくね?」
「……………えっ?」
「だってほら、あんなの将来絶対使わねぇだろ?」
「…………」
「足し算とか引き算が出来ればそれでよくない?」と未だに文句を垂れる彼に自然とため息が漏れた。
なにか真剣な話でもするのかと期待した私が馬鹿でした…
くだらないことでもこんな風に真面目な顔をして言ってくるのが彼なのに、そんなことまで忘れてしまっている。
……時が経つのって本当怖い。
「…………範囲のとこ開いて」ともう全て無視して始めようとすれば「Aちゃん!人の話はちゃんと聞く!!」と怒られてしまった。
理不尽すぎる。
「はいはい、でもちゃんと勉強しないと赤点回避出来ないよ?」
「……わかってるけど!!でもこればっかりはほんとにそう思わない?!?!」
「思うよね?!Aちゃん!!」とグイッと顔を近づけて聞いてくる彼に少し体を仰け反らせながら「…………わ、わかったから、やろ?」となんとか落ち着かせた。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時