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夏休み。今はお盆真っ只中。
そのせいか、電車の中は少し混んでいるだけで、席もポツリポツリと空いてる程度の空き具合だ。
皆帰省してたりするのかなとぼんやりそんな車内を見ながら思う。
そんな中、端の方の席に座る私と隣の彼。
会話は全くもって、ない。
(どこ、見てるんだろ…)
チラッと横を向けば、ただじっと向かい側の車窓を眺める彼の横顔があって。
少しカッコいい。なんて思ってしまう。
私も何もすることがないので、同じように反対側の窓の外を眺めることにした。
コロコロと変わる風景を目だけで追っていく。
建物と建物の間からは太陽の光が差し込んでいて、少し眩しく感じた。
「Aちゃん」
「…ん?」
そんな日光の明かりに耐えきれず視線を少し左にずらせば、右隣から小さく名前を呼ばれる。
それでも電車内が静かなせいか、そんな声もやけに大きく聞こえた気がした。
他にも話してる人はいるにはいるけども。
「なんか話そ」
「へ、」
なにか大事な話でもするのかななんて思っていたから、そんなことを言われてふっと思わず笑みが零れた。
そんな私を見て、彼は片方の眉を少し上にあげる。
「なんか話そ」って…普通話すこと決めてから話しかけない?
まぁ、彼らしいっちゃ彼らしいけど。
まだ小さく笑いつつ「いいよ、なに話す?」とそれに乗っかった。
「んー、残り半分を切った夏休みのこととか?」
「私は特にバイト以外はなにもないかなぁ」
「俺も同じだわ」
「いや、バイトなんてしてないでしょ?」
「あ、バレた?」
あからさまな嘘にまた笑いがでてしまう。
「ちょ、Aちゃんそこまで笑わなくても良くない?!」なんて言う彼も少し笑っていて。
あぁ、いつもの私達だ。
少しの間会わなかっただけで私達の関係が壊れる、なんてことはないとは思っていた。
思ってはいた、けど、でも、それでも、私がわかりやすい程に避けていたってことは、多分きっと彼は気づいてるはずだから。
怒ったり、機嫌が悪かったり、雰囲気が暗かったりする、のかな、なんて自意識過剰なことを思っていたのもまた事実。
良かったなんてホッとしつつ、まぁいつか聞かれるんだろうなぁなんて薄ら思った。
「そういえば、夏休みの課題はおわっ……」
「そんなことよりAちゃん!今日も暑いな!」
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時