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答えたのになぜか何も言わないカラ松くんのことが心配になり、ちらっと隣を見ると、彼は眉尻を下げどこか悲しそうな顔をしていた。
なんで、カラ松くんが、そんな顔、する、の…?
彼の顔を見ていられなくて、視線を前に戻す。
胸がモヤモヤして仕方がない。
カラ松くんの表情1つでこんなに、こんなにも、
動揺してしまうのは、どうしてだろうか…
「……Aは、」
「………」
「Aは、もっと自分に甘くてもいいと、俺は思う。」
「っ……」
ゆっくりと言葉を紡ぎ始めたカラ松くんに、心がグラッと揺れ出す。
やっぱりカラ松くんは"彼"の弟、なんだな、、
「あっ、いや、その、自分に厳しいというか、そういう意味ではなくて、というか、自分に厳しいのが悪いとは思ってな「…………カラ松くん、」い………っす、すまない、、」
「…ううん、大丈夫だよ。」
「少し取り乱してしまった……それで、なんだ?なにか言いたいことでもあったんじゃ、、」
「……………………ごめん、忘れちゃった」
「気にしないで!」と笑ってこの場を誤魔化す。
カラ松くんは不思議そうな顔をするも「そうか」と深くまで聞いてはこなかった。
あんなに焦って饒舌になる彼に驚く暇も、余裕もないくらい、あの言葉が頭の中をぐるぐると巡っている。
「なんで、そう思ったの」
とは言えなくて。聞けなくて。
「そういう意味で言ったわけじゃないの、わかってるよ」
とも伝えられなくて。声が出なくて。
全部全部、喉の奥に仕舞い込んだ。
「……A?」
「…へっ?」
「大丈夫か?」
「えっ、あ、うん、大丈夫だよ」
「……悪い、さっき俺が言ったこと、そんな重く受け取らなくでくれ」
カラ松くんの発言にえ、とも言えず固まる。
なんでもお見通しで、見透かしてて、
そして、必ず私の気持ちを考えて言葉を選んでくれる。
カラ松くんも。……"彼"も。
「今のAでも、例え変わったとしても、あいつはちゃんと見ているからな」
ドクン
胸が大きく動いた気がした。
目を細めて優しく微笑みながら言う彼の顔を見つめたまま、固まってしまう。
カラ松くんって、昔からこんな人だったかな…
「俺たちも、トト子ちゃんも、だがな。」
「……ぅん」
「…アイツのこと、これからもよろしく頼む」
「…………それは、どう、かな?」
「えっ、A…?」というカラ松くんの焦り声にふふっと笑った。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時