玉柱は宵に現れる〈鬼滅の刃〉

28ノ亊~遊郭潜入 ページ29

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華やかな色街で怪しげな事件が立て続けに起こっていた

京極屋の女将であったお三津さんは落下死


ときと屋の鯉夏花魁行方不明


善逸も定期連絡が途絶え消息不明となった






だんだんと不気味な霧が濃くなって、鬼の匂いも


強くなっていく。








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ﾎｰﾎｰと梟の鳴き声が近付いてきたので、そっと腕を出し迎い入れる



〈ﾎｰﾎｰﾎｰﾎｰ便り〜便り〜 〉





『翠玉(エメラルド)？』






足に紐で縛られた白い手紙を解き、そっと開くと見覚えのある字を見つめて自然と笑みが零れた


内容は至って真面目で、短め。それでも心温まるものだった









無事に帰ってくれることを願う



鮭大根また頼む





冨岡義勇









『随分と暇なのね、』




と悪態を付くが、その優しい表情は絶やさず、そっと手紙を懐にしまう



鬼のしっぽはあと少しで捕まえられるが、どう対処するかわ彼ら達にかかっている









｢………………貴様か｣









時が止まった、と云うよりも一瞬心臓が止まるような

圧迫感に襲われた。気配も全く感じなかった。本当に

突然だった。目の前に現れた洋風な帽子を被り、

癖のある黒い髪。



奴(・)という存在は知っていたが、今初めて直視した。






『鬼舞辻…………無惨』






任務で鬼舞辻無惨を追う役目があったが、まさか
この場で、このタイミングで遭遇するとは予想外
刀を持っていても、今の状態は何も持ってないのと同じだ









｢ほう、確かに血の濃い柱だ｣








『……何故我の目の前に現れた』







｢何故？そうか知りたいか、上弦の月のある奴はお前の事をよく話していた｣






『(黒死牟……か)』







｢奴は相当お前を気に入っている、だから｣






『手出しはしないと？』






｢……面白い心が読めるのか貴様、ならいい
然し何れ殺される運命になる｣






『____________………………。』







瞬きをすると奴はいなくなっていた、




そしてそれと同時に彼女は胸を抑え座り込む



荒れた息、奴と会話をしている間は息が吸えない



気品らしい口調の裏腹には心臓を抉られるような感覚







『……はぁはぁ、……まだ、今の我では鬼舞辻を
倒せな、いのか……っ』

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