玉柱は宵に現れる〈鬼滅の刃〉

22ノ亊~過去の残骸話 ページ23

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宝月嫻という財閥の家系に生まれ



何不自由なく暮らし優遇されてきた



虚飾の社交界で彼女は忽ち噂されていた



平安から続く銀髪と透き通る碧い瞳



男共は喉から手が出るほどに欲しいと願っていた。






然し容姿以外に関して、頭脳明晰では有るが



よく周りから変わり者だと言われていた









一応身分柄命を狙われる事も有るので


護身術や刀の扱い等を仕込まれるが


飽く迄も護身用、そこ迄嵌(はま)る者など



いなかったが、彼女は護身を教える先生を



呆気なく倒してしまった









その時の感情はとても気持ちいいものだった



もっともっと強くなりたいと、そう思った









召使｢いけません！お嬢様！旦那様にあれ程お叱りを受けたではありませんか｣









笑みを浮かびながら刀の手入れをする








『知らないわ、我の勝手でしょ』








召使｢然しそのような物は無粋……｣







『そのような物(・)？』









召使は言ってしまったことに後悔した


何故なら今の彼女から溢れる凄まじい威力


息が詰まる









召使｢も、申し訳｣









『言い分は分かるわ、無粋だもの事実よ
卦度、次期当主になる我に対する反抗
父上に釘を刺されたからと言って、何か察する事ぐらい有るでしょ、正直面倒臭いのよ』






召使｢な、何を｣







『使えない者はこうやって処罰をするのよ』








刀を振り翳す







顔を真っ青にした召使の頬に刃先が辺り


傷から血が流れる









『下がれ、二度と我の前から現れるな』









彼女は恐ろしく狂っていた







時は過ぎていくが彼女は強くなるばかり




独学でここ迄強くなれるのは何故か




彼女に流れる血なのか









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ある日を境に事件は起きた








三日月がよく映えた夜





寝所で眠りについていたが、何か異様な気配を


察知し刀を取る





唯の異様の気配ではない凄まじい気配


心臓の鼓動が鳴り止まない




そしてなんと言っても血の香り









彼女は両親が寝る部屋へと歩く









『…………父上、母上？』









死んでいた









首が転がっていた









然し悲しくもなかった、恐ろしくもなかった









『誰だ』









｢まだ生き残りが居たか、小娘｣

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