[柊深夜] 血を拭いていては~彼岸~ (ページ7)

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story 54. 彼岸花の贈物ページ7

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栄「そんなことが…A様は一体何を背負われているのですか」

『…さぁ……、ただの飢えというところでしょうか』

栄「飢え…？」

『これ以上私の事を模索しても、なんのメリットもない
話はここまで。今後の世界は貴方の息子が引き継ぐでしょう、一瀬家含め。一瀬栄殿、御苦労でした』

彼女からの口から〈御苦労様〉と栄へにと伝えられた。

彼女が決して告げることの無い言葉に、栄はしみじみと受け取った。

栄「ありがとうございます……

どうか見届けてやってください、この世界を」

『気が向いたら、ね』

牢から出て、兵を呼び戻す。

兵達が戻ってきたところで、一瀬栄は処刑台へと連れて行かれた。見せしめなのか兵に囲まれた処刑台へと。

_______________これより一瀬家当主一瀬栄を処刑する

_______________ｸﾞｻ…

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栄の処刑が終わり、一瀬グレンは死んだ父の元へ駆け寄る

残酷な光景であった、生首が転がっている。

そんな残忍な光景を見て冷静でいられるものか。

グレンの中の憎悪が溢れ出す、だがこの怒りを必死に抑え

冷静になる。一瀬家を背負って立つ人間になると、彼は誓う。

グレン「親父………俺は大丈夫…立派な一瀬家当主になる。」

転がっている生首を拾い、胸に抱き寄せる。

『(残酷なんだが、尊い光景なのか……)』

こんな区別もできない世界は

狂ってる。

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愛知県一瀬家

一瀬栄の葬儀が一週間と行われていた。

流石にこたえた主催のグレンは自宅で一休みをする

グレン「はぁ……」

『溜息は縁起が悪い、特に葬儀中はな』

気配を全くと感じなかったグレンは、ハッと警戒を張る

葬儀中だと言うのに真っ白なワンピース、そして真っ赤な彼岸花の花束を抱えて彼女はやってきた。
縁起が悪いのはお前じゃないか……とグレンは突っ込もうとしたが
敢えて言わなかったのは、揉め事が面倒くさかったからだ。

グレン「なんで貴方様が……」

『月詠家の当主が、新しい一瀬家当主にご挨拶するのは当然のこと』

グレン「…こんな時にですか？」

『私は忙しいの、』

彼女は縁側に座り、彼岸花をグレンに渡す。

『私はこの花が好き、真っ赤で人を惹き付けさせるこの花に。
だから持ってきたの。』