まっどさいえんてぃすと ページ3
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「うふふ、いいお肉ですね。脂肪もしっかり乗っててぷるぷるしてる。かわいい、きれい、私のために死んでくれてありがとう。……あれ、死んでないか、間違えちゃった」
四肢をもぎ取り持ってきた試薬をその場に出す。
鬼の生体はある程度理解出来た。血管の位置は人間とさして変わらない。
心臓を潰さないように慎重に重さを調整し腹の部分に刀を指す。予め刀に再生を遅らせる薬を塗り込んでいるため、そう簡単に手足が再生することは無い。
「がんばれっ」
動脈に注射針を刺す。
まずは病原菌を注入。それからしばらく置いて調合した試薬を注入する。身悶えるような痛さではない。だが生身の人間にやるには些か問題が生まれる。
「いい子、いい子だねぇ。頭がぼーっとしてきた?うんうん、君は今から病人だ。今治してあげるからねぇ」
発熱、腹痛、手足のしびれ、その他もろもろ状態をみて把握し紙に記入していく。だがやはり本人から聞いた方が情報は確かだろう。
しかし、ここで問題は生まれる。
私の呼吸は鋼
鋼鉄のように凄く重くなる規格外な型もある訳で、今それを使って鬼の動きを止めている。
具体的にいえば刀を鬼の腹部に刺し、貫通させ、その後ろにある地面にも深く刺している。だから、薬を投薬する以前に刺しているから痛みは最初から伴っているのだ。
そしてその傷口から無数の菌が入り込み発熱に至る。
もし今この状態で鬼に発熱があってもそれは試薬のせいなのか刀で刺してるせいなのかと分からない。
ならばどうするのか、簡単な話、熱を下げる。
それが今回の実験だ。
病原菌を注入するよりも前に解熱効果のある物を注入していた。なのでこれで可能性は開けてくるはず、だが
「あっ」
同じ職の者に鬼の頸を斬られれば元も子もない。
次第にはらはらと鬼の姿は消えてゆき、いつの間にか鬼の胴体を貫いていた刀は今は土しか刺していない。
「なんてことするんですか」
「実験なんて地味なもん辞めちまえ」
「最低ですね」
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作者名:椿 | 作成日時:2020年1月24日 23時