NO.2 個性 ページ4
彼を淡い光が包み込んだ。
私の個性にも多少なりとも条件がある。
"個性を捨てる"選択をしなければ死んでいた。
「本当に…治ってる。」
「…治癒なんかじゃないよ。これは自然の原理を超えてる。」
貴「じゃあ、私はここでおいとま……させてくれるわけないよね。」
プロヒーローらしい黒髪ボサボサのお兄さんが私の手を引いた。
普段なら「えっ、なんで私を引き止めて？もしかしてこれが恋？」とか思ってるだろうけど、これはそんな簡単に済まされる問題じゃないんだよな。
軽めに行って私法を破りまくってるバリバリの犯罪者よ。そこらにいる
「彼を助けてくれた事には感謝してる。が、一緒に来てもらうぞ」
貴「あははー、ですよね。」
私はそのまま連れて行かれるがままだった。
そのうち私はプロヒーローと警察に囲まれて警察署に連れていかれる羽目になった。ここまでは予想通り。うん、なんだって私には分かるのよ。私はここで王手は取れないから。
しばらくは様子見ってとこだね。
「君、名前は？」
貴「AA。歳は16の高校一年生。」
「個性登録では"無個性"となっているが？」
やっぱりそこですよね。
仕方ないじゃん。私の個性知ったらどうせ"公安"辺りに私の身柄拘束されるんだから。それくらい強い個性なんだっていう自覚はあるよ。ジジイにさんざん忠告されて育ってきたからね。
これが私の詰めの甘さなんだろうね。
"飛車"だけ信じてもダメなんだろな、ジジイ。
貴「突然発現したってわけじゃない。私の個性に目をつける連中がいずれ現れるだろうから登録なんてしない方がいいってうちの祖父が言ったんだ。」
「なら、君の"個性"は？」
雄英教師もいる、しかも校長までいるときた。
ここで嘘をついても私には何の得もないし、どうせなら全部話した方が楽だ。今までの暮らしで私がクソほどめんどくさい事になった事は無かった。あれが平穏だったんだろう。
きっとここまで後回しにしてた罰だろう。
私はもう個性を使った時点で"詰んでた"。
貴「私の個性は"アクセス"。ありとあらゆるものにアクセスすることが出来る。それは"人体構造"でも、機械やサーバーへの侵入でも、なんでも出来る。」
私がそう言うと私を囲むようにいた大人たちがざわめいた。その中で一人のクマが手を挙げて言った。"私を預かる"と。
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作者名：楸 | 作成日時：2022年11月27日 0時
